
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、使い方や定義が組織や人、場面によりまちまちです。本記事では、DXの定義やなぜDXが必要なのかについて、わかりやすく解説します。
INDEX
- 1.DXとは
- 1.1.DXはデジタル・トランスフォーメーションの略称
- 1.2.ビジネスにおけるDXは「企業がテクノロジーを使い、大規模な変革に取り組むこと」
- 1.3.DXの狙いは「変革に取り組む」であり「テクノロジーの導入」ではないDXの狙いは「変革に取り組む」であり「テクノロジーの導入」ではない
- 2.DXが必要な理由
- 3.DXを推進する企業に求められること
- 3.1.現状の変革に挑戦し失敗を恐れない企業へ
- 3.2.すべての従業員がビジョンを理解し、DXに取り組む
- 3.3.全社で一元化された情報システムの導入
- 4.DXが提供する「新たな価値」
- 4.1.顧客への新たな体験
- 4.2.新しいビジネスモデル
- 5.DXの成功パターン
- 5.1.業務を大幅に簡素化・自動化する
- 5.2.顧客との関係性の強化
- 5.3.新規ビジネスモデルの創出
- 6.DXの事例3選
- 6.1.ディズニーワールド
- 6.2.中外製薬
- 6.3.ニチガス(日本瓦斯)
- 5.DXという言葉にとらわれず、時代に合わせて変化する姿勢が大切
DXとは
DXはデジタル・トランスフォーメーションの略称
DXは「デジタル・トランスフォーメーション」の略称です。直訳すると「デジタル革命」です。英語圏ではTransを”X”に置き換えるため、DTではなく「DX」と表記します。
DXをはじめて提唱したとされるのが、スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授の論文の中で、DXを次のように定義しています。
”デジタルテクノロジーによって引き起こされる、あらゆる面における生活の変化”
ビジネスにおけるDXは「企業がテクノロジーを使い、大規模な変革に取り組むこと」
ビジネスにおいてDXは、おおむね次のように定義されます。
”企業がテクノロジーを使い、大規模な変革へ取り組むこと”
ストルターマン教授が提唱したDXは「変化してしまう」「一変してしまう」という受け身のものです。一方ビジネスにおけるDXは、「変革へ取り組む」という能動的なものという違いがあります。
ストルターマン教授のDXは消費者の立場から見ており、ビジネスにおけるDXはサービスを提供する側から見ているという違いがあります。
DXの狙いは「変革に取り組む」であり「テクノロジーの導入」ではない
「デジタル技術の導入」はあくまで手段であることに注意してください。DXの重要な部分は「変革に取り組むこと」です。
「デジタル技術の導入」のみに焦点を当てると、「デジタルツールは導入したけど、何も変革できなかった」となりかねません。
DXが必要な理由
企業にDXが必要とされる理由を一言でいうと、生き残るためです。
テクノロジーによって、個人の生活様式はどんどん変化しています。
たとえば店頭での買い物は、自宅にいながらスマートフォンで完結できるようになりました。動画コンテンツを見るときは、DVDのレンタルではなく、デバイスを問わず24時間いつでも見られるストリーミング配信サービスを利用するようになりました。
サービスを提供する側である企業が従来と同じビジネスを続けた場合、変化する消費者や社会からいずれ選択されなくなり、存続が困難になるでしょう。
企業は生き残りをかけて、自身を変革させなければなりません。
デジタル化による個人の生活様式の変化により、すでに少なくない企業が倒産に追い込まれています。
<デジタル化が影響した倒産事例>
倒産した企業 | 業種 | 倒産の要因 |
イエローキャブ(アメリカ) | タクシー | Uberなどの相乗りサービス |
トーマス・クックグループ
(イギリス) |
旅行代理店 | 個人が直接宿に予約できるサービス |
AKIRA(日本) | リサイクルショップ | メルカリなどのフリマアプリ |
出典:総務省(2021)「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」
デジタル技術を武器に業界に参入する企業は、同じ業界の老舗企業にとって非常に大きな脅威です。革新的な競合他社に追いつくためには、自身のビジネスを根本的に刷新する必要があります。

DXを推進する企業に求められること
「大規模な変革」は、従来の伝統的な組織体制ではなし得ません。DXの推進には、「組織の変革」が必要です。
①失敗を恐れない企業風土
従来型の企業では、失敗すると責任をとる文化があるため、革新的なことにトライする風土がありません。ですが消費者や社会は進化し続けています。企業はその変化に迅速に対応していかなければなりません。現状に挑戦する風土や、失敗を減点としないルール作りがDX企業に求められます。
②すべての従業員がビジョンを理解し、DXに取り組む
マッキンゼーのデータによると、DXに成功した企業では、下位の職位である現場スタッフや現場管理職においても、DXに関与していることがわかります。経営者やDX推進者等の関与割合は、DXに成功した企業と失敗した企業とでは、差があまりありません。
DXを成功させるには、すべての従業員をDXに関与させる必要があるといえます。
どのようにしたらすべての従業員がDXに取り組むことができるかというと、リーダーが会社のビジョンを示し、従業員の方向を統一することが求められます。ビジョンを示すことが、それぞれの従業員が自らの役割と課題に向き合うことにつながるでしょう。
③全社で一元化された情報システムの導入
DX化された企業では、全社横断的に連携するシステムを利用します。今まで可視化できなかったものを伝達できるようになり、部門間のコラボレーションが促進されるでしょう。
一方従来の企業は、部署ごとにシステムを導入していますが、それぞれが連携していません。
部門を横断するシステムの導入には、全社最適となるシステム構成が必要です。部門間の利害が一致しない場合、部門ごとに妥協・調整してもらうことも少なくありません。
各部門の反発を招かないためには、全部門の方向性を統一する必要があります。
つまり全部門が、顧客中心で考え、自社の課題を認識しておく体制になっておく必要があります。

DX化がもたらすもの
DXにより組織が大規模に変革し、デジタルテクノロジーを導入した結果、生まれるのが「新しい価値」です。新しい価値とは、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを指します。
顧客への新たな体験
DXに成功した企業は、顧客が何を好んでいるかを、年齢や性別などの「マス」ではなく「個」として捉えています。
モバイルアプリケーションや各種センサーなどにより、昔とは比べものにならないくらいの大量のデータを取得でき、個人の好みを詳細に把握できるようになったからです。
自分に向けられた特別なオファーは顧客の満足度をあげ、他のサービスよりも選択する機会が多くなるでしょう。
たとえばコーヒーチェーンのスターバックスは、自社アプリから顧客の好みや行動に関する膨大なデータを収集。人工知能(AI)を活用することにより、その個人にカスタマイズされたオファーを提供し、顧客の満足度をあげています。
アプリには、支払い機能やアプリを利用することでスター(ポイント)を貯められる報酬制度、来店前にオーダーできる機能などがあり、シームレスな体験を顧客に提供しています。
新しいビジネスモデル
自社のこれまでの戦略にとらわれず、テクノロジーに合わせて柔軟にビジネスモデルを変更する点は、DXに成功する企業の特徴のひとつでしょう。
たとえば動画配信サービス大手のNetflixは、もともとDVD郵送ビジネスを展開していた企業でした。
ブロードバンドが普及し、スマートフォンが発売されたことから、Netflixは「消費者はいずれDVDレンタルから動画ストリーミングに移行する」と予測。そしてストリーミング事業をはじめたのです。
Netflixの事例のように、既存商品とは路線が異なる製品を提供できるようになるのは、DXの成功といってよいでしょう。

DXの成功パターン
DXの成功パターンは、大きく3つに分類できます。
業務を大幅に簡素化・自動化する
1つ目は、テクノロジーによって業務を大幅に簡素化したり、自動化したりすることです。
作業時間が削減されることで省人化でき、生産性が向上します。
顧客との関係性の強化
2つ目は、顧客との関係性の強化です。
競合他社にはない新たな体験を顧客に提供することで、顧客の満足度が高まり、解約を防ぎます。
新規ビジネスモデルの創出
3つ目は、これまでに存在しなかった商品を開発したり、別の市場の顧客を獲得したりすることです。新たな事業分野へ進出することで、会社の財政基盤を強化できます。
DXの事例3選
DXに成功した企業の事例を3つご紹介します。
各企業のDX成功パターンは、次のとおりです。

ディズニーワールド
フロリダにあるディズニーワールドでは、2013年から「Magic Band」というアイテムで顧客体験の価値向上を実現しています。
Magic Bandとは、個人情報が入ったICチップを内蔵している、シリコン製のリストバンドです。
ゲストはMagic Bandを腕にはめ、ワールド内のICリーダーにかざすことで、次のことができるようになります。
・パーク内への入場
・ホテルの部屋のロックを解錠
・ショップでかんたんに購入できる
・アトラクションに乗っているときの写真が届く
・キャラクターの像にかざすとキャラクターが喋りだす
・ナイトタイムのショーのときに鮮やかに輝く
・優先レーンへのチェックイン
テーマパークにはつきものだった、チケットやカードキー、財布を取り出すという行為が不要になり、行列に並ぶ時間も最小化できます。
Magic Bandによって顧客の満足度がアップするとともに、顧客との関係性はより強化されています。
中外製薬
中外製薬では、AIが搭載されたシステムを使うことによって、3~6か月かかっていた創薬プロセスの一部を、約1か月に短縮しました。
AIが用られたのは、創薬プロセスのうち次の2箇所です。
・効果がありそうな化合物の選定(LI)
・アミノ酸配列の最適化(LO)
医薬品を開発するときは、ターゲットとなる病気に、効果がありそうな化合物を選定するところから始まりますが、通常は膨大な数の抗体を作成し評価する作業が必要です。

また最適なアミノ酸配列を求めるときは、研究員が計測データから最適な組み合わせを考え、作成・評価を繰り返します。
AIが搭載されたシステムを用いることで、それぞれのプロセスにおいてAIが最適なものを提案するようになり、作業時間が短縮されました。
ニチガス(日本瓦斯)
関東圏のLPガスや都市ガスの供給事業を行うニチガスでは自社で採用しているICT技術を商品化し、同業他社へ販売する事業を展開しています。
販売している商品は主に次の2つです。
・ガスの遠隔検針が可能なスマートガスメーター
・ガス残量や配送車両の位置情報をもとに最適な配送業務を実行できるシステム
どちらもニチガスが独自に開発したものですが、もともとは自社の業務効率化のために開発されたものです。
ガス検針は月1回人が訪問し、目測でメーターを確認していましたが、遠隔で検針できるシステムにより人を訪問させる必要がなくなり、省人化を実現しました。
ガス検針の自動化により、1時間毎など従来よりも多頻度での集計が可能になったため、ほぼリアルタイムなガス残量をもとに、最適な配送業務を実現しています。
ガス検針の情報や各拠点のボンベの在庫状況、配送状況は基幹システムに集約され、最適な配送ルートを算出したり、在庫の補充計画に活用されています。
DXという言葉にとらわれず、時代に合わせて変化する姿勢が大切
逆説的ではありますが、DXという言葉にとらわれず、「自社の組織体制や文化を変革する」ことに注視したほうが、DX化への近道となります。
なぜならDXに成功した企業の多くは、「DX」という言葉を使っていないからです。自社のビジョンに対する課題を、最新のテクノロジーを使って解決できないか検討する、というシンプルなステップをたどっただけです。

その成功した様子を見た第三者は、「デジタル技術によって解決した」ように感じます。ですが実際は、「柔軟に変化できる組織」だったことが勝因となっていることが多いでしょう。
DX化への取り組みを通じて、自社組織を変革することで、社会の変化に負けない競争力をつけられます。

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