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DoRACOONの据え置き型新機種「YT65」開発秘話(後編)

2022-4-26

前機種を販売する中で浮かび上がった「お客さまと営業担当者の手離れの悪さ」を解消するためにメンバーが試行錯誤を重ね開発した、DoRACOONの中でも有線LANのインターフェースを持つ特徴的な機種「YT65」。後編では前機種との比較や想定しているお客さま、今後の開発展望について紹介していきます。

ボタン一つで快適な接続環境を選択可能に

―前機種「YT60」と比較して「YT65」の優れている点を伺えますか。

 

平田(開発リーダー):

 

クラウドSIMはさまざまな電波を選べる技術です。しかしながらお客さまが、自由に電波を選べるわけではなく、あくまでもシステム側が快適な電波を探して接続する仕組みなので、YT60では電波を入れた時点で快適と判断した電波に接続すると、すぐに切り替わらない仕組みにしていました。

 

ですので、移動先によっては少々電波状況が安定しないこともありましたし、満足できない接続状況の場合は、電源の抜き差しでリフレッシュするという手間があったんです。

「YT65」はボタンを押すことで快適な通信環境を選択できるようになったのです。

同時に2.4GHz帯のみ対応だった「YT60」に対し、「YT65」は2.4GHz帯と5GHz帯の双方に対応可能となり、無線区間の通信スピードも早くなりました。

 

霞末(メーカー):

「YT65」にはアンテナを2つ具備しています。内蔵アンテナを新たに備え、アンテナ1本では拾えなかった方向の電波を拾えるようになりました。「YT60」では設置する角度によっては、電波を拾いづらい事象が発生していましたが解消されましたね。

 

平田(開発リーダー):
VPNの接続が可能となりましたし、給電方法についても従来のACアダプターだけではなくType CのUSBケーブルからも可能となりました。

 

参考(機能比較表)

複数拠点をもっているお客さまのニーズに沿う

―開発当初から想定したユーザー像を教えていただけますか。

石川(プロジェクトマネジャー):
インターネットに接続するユーザーすべてにご利用いただけます。「YT65」の機能としてVPN接続を備えましたので、例えば公民館や派出所などの公共施設や都道府県単位に営業所をかまえる一般企業など、特に複数拠点をもつお客さまのニーズにお応えしやすくなったと考えます。

 

私が所属する部署はもともと、SOHOなどコンシューマーに近い法人さまへ通信サービスを提供することからスタートした部署です。DoRACOONをリリースしてから多拠点を主とするお客さま、例えば自治体さまとのお付き合いも広がっています。

 

林田(担当部長 営業):

本来「YT60」がささるユーザーから、「YT65」で拡大できるユーザー層を検討しました。

 

拠点間通信に加え通信速度があがったことにより、多くのパソコンやスマートフォンが同時に接続する通信環境に対応できることを想定しました。災害が発生した際の避難所WiFiのように多くの方が無線LANをインフラとして使う場合もあれば、GIGAスクールの特別教室向け、PTAや自治会の総会など各地域の小規模イベント利用への展開も考慮しました。

また電話線を使ったインターネット通信であるADSLやISDNのサービスが終了していくので、マイグレーション先をお探しのユーザーも想定しています。

 

石川(プロジェクトマネジャー):

可搬型の端末という特徴から、建設業界の方からも多くの支持を受けています。仮設事務所で集まって休憩したり、現場で作業員が本部と図面データを見ながらやり取りしたりといった工事現場のよくあるシーンで、わざわざ光回線をひくのは時間がかかりますし面倒だと感じることもあるようです。

 

そんな時、工事現場の事務所に「YT65」をひとつ置いてご利用いただければ簡単です。多頻度で場所や電波状況が変わるーこういった要件に対応しやすい機能を持つのが「YT65」なんです。

―「YT65」をリリースして2ヶ月経過しているとのことですがユーザーの反応はいかがですか。

林田(担当部長 営業):

 

「YT60」販売時と比較して、市場のニーズに応える機能をもたせた「YT65」のご利用は3倍ほどの反響を得ています。特にVPN接続を必要とする複数拠点をお持ちの大規模ユーザーからのお声がけが顕著です。デモ機や検証体制を整え、こうしたユーザーのご期待に的確にお応えしていきたいですね。

―開発で苦労したことを伺えますか。

平田(開発リーダー):

半導体不足の影響があり納期遅延が発生し、開発側の検証期間を大幅に短縮して対応する事態となりました。

 

機器の動作を細かく確認するには、相当の集中力が求められましたね。パートナー企業であるMAYA ネットソリューションズに力添えいただきながら総力戦で乗り越えました。

 

霞末(メーカー):

製品の機能に加えて、Web GUIに関しても見直しました。より心地よくご使用いただけるように、検証段階でわかりにくさをできる限り払拭することにこだわりましたね。

 

林田(担当部長 営業):

一番苦労した点は、他社ルーターにつなぐ部分です。

 

平田(開発リーダー):

同機種(YT65とYT65)間で接続するだけでなく、例えば「YT65」とヤマハさまの機器やNECさまの機器など他社の機器と接続することがありますが、機器ごとに若干の仕様の違いやクセがあるので思ったとおりに接続しないことはよくある事象です。異なる機種同士の快適な接続を実現するために、弊社とMAYA ネットソリューションズの皆さんと試行錯誤を繰り返しまし

デジタル社会基盤の構築への貢献に突き進むDoRACOONサービス

―通信へのニーズはさらに広がると想像できます。最後に、今後の開発展望をぜひ教えてください。

林田(担当部長 営業):

インターネット網でつながることがDoRACOONのコンセプトですが、通信へのニーズは広く、まだまだ開拓できる市場はあると捉えています。世の中は4Gから5Gへの切り替えが進み、企業からはセキュリティの高い閉域網へのニーズもあります。

 

NTT西日本にはフレッツ光という回線があります。現在のモバイル回線に光回線を収容し、バックアップを可能とする端末の開発も考えたいですね。「高速化・セキュリティ強化・回線を停止させない・BCP強化」このキーワードを常に念頭におき、つながる世界の一層の快適化に全力で対応します。

 

霞末(メーカー):

ユーザーが期待する通信速度の高速化にもさらに応えたいですね。5Gへの切り替えももちろんのこと、キャリアアグリゲーション対応の実現に取り組みたいです。現行のDoRACOONサービスでは通信するために必ずインターネットに抜ける必要があります。

 

例えば、省庁や警察など一層の機密性を求めるユーザーは、インターネット網に抜けることなくよりセキュアな帯域網の中で拠点間の通信を構築します。閉域網に対応する端末を開発して、市場のニーズに応えていきたいです。

 

石川(プロジェクトマネジャー):

機器の機能向上が先行した結果、ユーザーも用途も広がっています。サービス全体に視点を向けると、ユーザーへの伝え方や保守・運営面でよりご満足いただける体制へ進化すること、将来的には基幹システムでもご利用いただけることを目指していますので、サービス運営会社として体制をアップデートしていきます。

市場の声に真摯に耳を傾け、デジタル社会基盤の構築への貢献に突き進むDoRACOONサービス。
さらなる進化にも期待したい。

関連タグ: # DoRACOON# YT65
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