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働き方改革とは?取り組みの背景とメリット・デメリットを解説!

2022-12-23

働き方改革とは

現在の日本は働き方改革によって、人それぞれの働き方が大きく変化しています。

ですが、働き方改革では具体的にどのようなことをやっているのか実はよく分かっていない方も多いでしょう。このページでは、そんな働き方改革について解説していきます。

 

働き方改革とは?

政府が掲げている「一億総活躍社会実現」を達成するために労働環境を大きく見直す取り組みのことです。

働き方改革の対象はブラック企業と噂されるような企業だけではなく、あらゆる企業そして個人事業主を含んでおり、かなり大規模な改革となっています。

昨今もなお起こり続けている長時間労働問題や過労死・重労働による自殺などの労使トラブルを解決するために様々な取り組みが行われており、それらを総称して働き方改革と呼ばれます。

働き方改革が行われた理由

働き方改革が行われた目的は主に労働環境改善・生産効率の改善などが挙げられますが、そもそもの働き方の改革が行われた理由は以下のようなものがあります。

・ 労働人口の減少

・ 長時間労働・過労死問題

・ 非正規社員・正社員の格差問題

労働人口の減少

(出典:総務省平成29年版 情報通信白書 図表3-5-2-14 我が国の人口の推移より)

日本が少子高齢化の道をたどっていることは有名な話です。

この少子高齢化によって日本人口に対する労働人口が減少し続けており、深刻な人手不足に陥っています。人手不足によって一人あたりの労働コストが高くなり、長時間労働などにもつながっているのが現状です。

また、労働人口減少とともに高齢者の増加が続いており、労働力とみなされる生産年齢人口(15歳以上65歳未満)の方が介護や育児にまわっているため、さらに労働人口が減少する要因にもなっています。

長時間労働・過労死問題

毎日残業するのが当たり前というような長時間労働は労働生産性に大きな悪影響を及ぼします。

日本は主要先進国の中でも1時間あたりの労働生産性が極めて低いことが課題に挙げられており、その理由の一つに長時間労働が問題視されているのです。

特に長時間労働などの重労働から来る過労死問題は深刻です。過労死は年間100人を超えており、如何にして長時間労働問題を解決できるかが働き方改革の大きな課題でもあります。

非正規社員・正社員の格差問題

同じ働きをしているのに給料が非正規か正社員かで変わってくることは問題視され続けています。

日本はアルバイト・パートでも正社員と同様の働きを求められている事例が少なからず存在し、非正規雇用の待遇改善について働き方改革の課題として取り上げられています。

特に現在の日本は非正規で働いている人が2,000万人(総務省「2018年労働力調査」)を超えており、雇用形態に関わらない均等均衡待遇を確保することが項目の同一労働同一賃金ガイドラインに定められています。

(出典:平成22年版子ども・若者白書 第1-2-10図 雇用形態・年齢階級別平均賃金より)

働き方改革のメリット

働き方を大きく改善するための取り組みということもあり、働き方改革には様々なメリットが存在します。

労働者にとってのメリット・企業にとってのメリットをそれぞれ解説していきます。

労働者(働き手)のメリット

長時間労働の減少

大きなメリットの一つが長時間労働の減少です。

働き方改革では時間外労働(残業)の上限規制が発行・実施されました。この規制によって時間外労働の上限を月間45時間・年間360時間までとなり、長時間労働させることが難しいようになりました。

上限時間を超えて労働させる場合は所定の書類を労働基準監督署長に必ず届ける必要あり、届け出なかった場合は罰せられます。

自分のライフスタイルに合わせた生活を送りやすい

働き方改革は労働時間に関する取り組みだけではありません。

副業の解禁や勤務スタイルの変化など様々な取り組みが行われています。特に現在急激に増加しているのがテレワーク(リモートワーク)です。

テレワークでは在宅で働くことができ、好きな場所で働くノマドワーク・会社とは異なる場所で働くサテライトオフィスワークなど自由度が高まっているため、自分のライフスタイルに合わせた生活をしやすい変化が進んでいます。

これにより、平日は仕事漬けで何もできない・休日は疲れを取るのが精一杯という生活から抜け出しやすくなり、自由度の高い生活を送りやすくなっています。

収入の増加

働き方改革の取り組みの一つである同一労働同一賃金のガイドライン制定によって収入の増加にも期待できます。

ただし、正社員と同等の労働と責任を負うことでやっと対等になれる(同一労働同一賃金)ため、「正社員がいる場所で働く=正社員と同じ収入を得られる」わけではありませんので注意してください。

企業側のメリット

生産性の向上に取り組む理由になる

残業時間の制限が設けられたことから、従業員に長時間労働をさせて企業の売上を伸ばすということはできません。

そのため、今まで以上に効率化して取り込む必要があるのですが、今までそういった業務効率化をしてこなかった場合は、働き方改革をきっかけに業務効率化の取り組みと一人当たりの生産性を高めることができます。

生産性を高めることで長時間労働が減る、疲労によるヒューマンエラーの減少・社内満足度の増加・企業評価改善による求人応募者数の増加などに期待することが可能です。

優秀な社員を雇いやすくなる

働き方改革の一環であるテレワークの導入など、労働者の評価が高い取り込みを積極的に行った場合、優秀な社員を雇いやすくなります。

働きやすい環境を実現している企業は口コミなどによる評価も高くなりやすく、求人を出した時の応募者数が増えやすいです。

応募者数が増えることで採用する方を吟味しやすくなり、結果的に優秀な社員を雇いやすくなるメリットがあるのです。

働き方改革のデメリット

働き方改革は生産性向上などのメリットも多いですが、そのメリットを実現する際に発生する課題・デメリットが存在します。

従業員・企業それぞれのデメリットも詳しく見ていきましょう。

従業員(働き手)のデメリット

業務効率化が必要

時間外労働の上限規制が実施されているため、ゆっくりダラダラと残業までして働き、時間外労働分の割増賃金をもらうということができません。

そういった考えがなかったとしても、残業して無理やり与えられた仕事を完了させることが難しくなっているため、必然的に業務効率化が必要になります。

これまで残業が少なかった企業では急いで業務効率化に取り組まなくても時間外労働の上限規制の範囲内で働けますが、問題視されるぐらいの長時間労働が常態化していた企業に在籍している場合は業務効率化に企業とともに取り組まなければいけません。

必ず働き方改革が実施されているわけではない

時間外労働の上限規制など法的拘束力を持つ働き方改革はいくつかありますが、働き方タイプから法的拘束力がないものも多く、必ず働き方改革通りの変革が各企業で行われているかはわかりません。

例えばテレワークの導入も企業の采配次第であり、入社した企業がテレワークを実施しているとは限りません。

また、同一労働同一賃金のガイドラインも法的拘束力はなくあくまでガイドラインとしての立ち位置となります。

積極的に取り組んでいる企業もありますが、全ての企業がそうとは限らないというのが現実です。

企業側のデメリット

業務体制の改革が必要

業務効率化は従業員任せではできません。企業という組織として業務効率化に取り組む必要があり、そのためには業務体制の改革が求められることもあります。

現状維持のまま業務を効率化するということは難しいので、新しい取り組みを始めて、事業部単位でより良い業務体制への変化を起こしていかなければなりません。

ある程度のリスクを背負う必要があるため、労働時間を下げるための業務効率化を図る際は慎重に取り組む必要があります。

人件費が増加する

 

 

 

同一労働同一賃金を達成して社内満足の向上などを狙う場合、非正規雇用者数が多ければ多いほど人件費が大幅に増加することでしょう。

働き方改革の効果(2018年~2021年)

働き方改革法案が施行されてから、3年が経過しました。

働き方改革によって、従業員の働き方はどう変化したでしょうか。

ここでは公開されている政府の統計を元に、労働時間と有給休暇取得状況の変化を見ていきます。

ひと月あたりの総労働時間:8.6時間減少

ひと月あたりの総労働時間数は、2018年から8.6時間減少しました。

 

<平均月間就業時間の変化(正規従業員)>

出典:労働力調査 年次 就業者の各年のⅡ-4表より筆者が作成

 

ひと月に20日稼働している場合、1日あたり約26分減少していることになります。

残業上限を超えて就労している人:233万人減少

残業時間の上限を超えて労働している正規従業員も減っています。

 

<残業上限を超えて労働する人数の変化(正規従業員)>

出典:労働力調査 年次 就業者の各年のⅡ-4表より筆者が作成

(※)残業上限の月45時間を想定したときの、総労働時間である205時間にもっとも近い統計上の基準

 

2018年と比べて233万人減少しているものの、まだまだ残業上限を超えて労働している方も多いことがわかります。

有給休暇の計画的付与制度がある企業の割合:27.1ポイント増加

あらかじめ有給休暇の取得時期を決めておく「計画的付与制度」を設ける企業の割合が、27.1ポイント増加しました。

 

<有給の計画的付与制度を採用する企業の割合の変化>

出典:就労条件総合調査 労働時間制度 表番号11(2018年分)・12(2021年分)より筆者作成

 

多くの企業において、有給を取得しやすい環境が整いつつあるといえるでしょう。

年次有給休暇取得日数:0.8日増加

有給休暇の取得日数の増加した量は0.8日であり、若干増えていることがわかります。

 

<有給の平均取得日数の変化>

出典:就労条件総合調査 労働時間制度 表番号11(2018年分)・12(2021年分)より筆者作成

 

ただし有給取得の増加数は、性別で大きな隔たりがあります。

 

<男女別・有給の平均取得日数の変化>

出典:就労条件総合調査 労働時間制度 表番号11(2018年分)・12(2021年分)より筆者作成

 

2018年~2021年にかけて男性は1日増加したのに対し、女性はわずか0.2日しか増加していません。

つまり「年5日の有給取得取得」の恩恵を受けたのは、ほぼ男性だったといえるでしょう。

 

これは2018年の時点で、女性の有給休暇取得日数が男性よりも多かったことが影響しています。

女性の有給取得数が男性よりも多い背景には、「子育てや介護の主体が女性である」というジェンダーギャップがあると考えられます。

まとめ

働き方改革で行われている取り組みは非常に幅広いため、すべてを把握するためにはガイドラインを把握しておかなければなりません。 そのガイドラインも情勢の変化などに合わせて随時更新されているため、より詳しく全貌を認識しておきたい場合は労働省の発行している各種ガイドラインを閲覧するようにしましょう。

厚生労働省が公表している主なガイドラインは以下のものがあります。

 

これらのガイドラインはPDFで公開されているため、より詳細を知りたい方はそれぞれ目を通しておいてください。

https://www.mhlw.go.jp/content/000335765.pdf

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