オンラインで契約手続きを完結できるeSIM。本記事ではeSIMとはそもそもどのようなものなのか、そして特徴やメリット・デメリットを解説します。本記事を読むことで、eSIMの全体像やしくみを理解できます。
INDEX
- 1.eSIMとは
- 2.eSIMが開発された背景
- 3.eSIMの特徴
- 3.1.SIMの情報の書き込みをオンラインで行える
- 3.2.プロファイルを複数保存できる
- 4.eSIMの種類
- 4.1.M2Mモデル
- 4.2.コンシューマモデル
- 5.eSIMのメリット
- 5.1.開通までの時間が早い
- 5.2.SIMカードの不具合による故障が減る
- 5.3.1台の端末で複数のプランを切り替えられる
- 5.4.デュアルSIM対応機種であれば回線を用途別に使い分けられる
- 5.5.海外渡航時に便利
- 5.6.製品の設計自由度が向上し耐久性も改善
- 5.7.小さな製品でもデータ通信が可能に
- 6.eSIMのデメリット
- 6.1.複数端末を切り替えて使うときに手間がかかる
- 6.2.機種変更時に設定が必要
- 7.eSIM利用時の注意点
- 7.1.eSIM対応端末を用意する
- 7.2.SIMロックが解除されているか確認
- 8.eSIMとSIMカードの違い
- 8.1.eSIMは携帯電話に組み込み
- 8.2.eSIMはオンラインで完結できる
- 8.3.海外データ通信用eSIMならは最短10分で開通できる
- 8.4.eSIMは紛失・破損の心配なし
- 9.まとめ
eSIMとは
eSIMとは、「Embedded SIM」(埋め込まれたSIM)の略で、文字どおり、あらかじめ端末に内蔵されたリモートで情報を書き換えできるSIMの総称です。見た目は次の2種類があります。
・製品の基盤にはんだ付けされた状態(チップ型)
・取り外しできるカード型
製品の基盤にはんだ付けされたeSIMは、製品製造時に取り付けられているため、ユーザーが取り外したり取り付けたりすることはありません。
「カード型のeSIM」は見た目上、従来のSIMカードと変わりません。ですが従来のSIMカードとは違い、オンラインでSIM内の情報を書き換えられます。
eSIMが開発された背景
eSIMの技術はもともと、スマートフォンなどの消費者向け製品ではなく、産業機器向けに開発されました。なぜなら従来のSIMのしくみでは、SIMの管理や運用に時間やコストがかかっていたためです。
たとえばさまざまな国へ機器を輸出する場合、国や地域ごとにSIMを用意しなければならず、管理に手間がかかっていました。
他にも、機器の運用中に通信プランの契約変更が行われた場合、機器がある場所に赴いてSIMの入れ替えを実施しなければなりません。
eSIMであれば、ネットワーク経由で情報の書き換えができるため、輸出前にSIMカードを準備する必要はなくなります。通信プランの変更も遠隔から行えるため、現地に赴く必要はありません。
これらのニーズが大きかったため、eSIMは最初に産業用機器向けに実用化されました。
eSIMの特徴
eSIMは従来のSIMとどのような点が違うのでしょうか。eSIMの特徴をみていきましょう。
SIMの情報の書き込みをオンラインで行える
eSIMでは、モバイルネットワークの認証に使う「プロファイル」を、インターネットから入手できます。
プロファイルとは、平たくいうと、「モバイルネットワークにアクセスするための鍵」です。
加入者識別番号や携帯電話番号などの情報やプログラムの集まりで、通信事業者のネットワークにアクセスし契約者本人であることを証明するために使われます。
従来のSIMでは、「プロファイルが格納された状態のSIM」が通信事業者から発送されます。SIMが届いたら、そのSIMを機器に取り付け、開通手続きを行う必要がありました。
eSIMの場合は、SIM自体は機器内にすでに取り付けられています。インターネット上からプロファイルをダウンロードすれば、すぐに回線が開通します。
プロファイルを複数保存できる
eSIMには、プロファイルを複数保存できる機能があります。たとえばドコモとソフトバンクのプロファイルをそれぞれ格納できます。
ただし同時に使えるわけではなく、一度に使えるプロファイルは1つだけなので、利用シーンに応じて、キャリアを切り替えられる利便性があります。
eSIMの種類
eSIMの技術は、次の2種類があります。
・産業機器向け(M2Mモデル)
・消費者向け(コンシューマモデル)
この2つのモデルは「オンラインでSIM内の情報を書き換えできる」点は同じですが、書き換え時に「機器側の操作を必要とするか」という点で異なります。
なおスマートフォンのeSIMに使われているのは、消費者向けのeSIM技術です。
M2Mモデル
M2Mモデルでは、SIM内の情報を書き換える際に、機器側の操作を必要としません。
リモートで管理者がそれぞれの機器に一括でプロファイルをあてられます。製品が置かれている現地の人の手を必要としないため、効率的に機器を管理できます。
コンシューマモデル
コンシューマモデルでは、SIM内の情報を書き換える際、デバイスの操作を必要とします。エンドユーザーが許可または操作を実行することにより、プロファイルのダウンロードが始まります。
eSIMのメリット
eSIMはどういったことに役立つのでしょうか。eSIMのメリットを見ていきましょう。
開通までの時間が早い
eSIMのメリットは、開通手続きがオンラインで完了する点です。SIMが配送されてくるのを待つ必要がないため、開通までの時間が大幅に短縮されます。
たとえばドコモの格安プランであるahamoの場合、申込みから最短1時間で開通が可能です。
参考:eSIMについて
SIMカードの不具合による故障が減る
SIMカードのICチップ部分に指紋やゴミがついたり、うまく差し込みできなかったりすることで、通信できなくなることがあります。
eSIMの場合、プランやキャリアを変更してもSIMカードの物理的な入れ替えが必要ありません。チップ部分に触ることがないため、SIMが汚れること等による不具合は起こりにくいといえるでしょう。
1台の端末で複数のプランを切り替えられる
eSIMでは、複数のプロファイルを保持しておけるため、シーンによってキャリアを切り替えられます。
たとえば仕事用ではA社のプランを使い、プライベートではB社のプランを使う、といった使い方ができるでしょう。
デュアルSIM対応機種であれば回線を用途別に使い分けられる
利用しているスマートフォンがデュアルSIM対応の機種である場合、2つのSIMを同時に有効にできます。
SIMの組み合わせは「物理SIMとeSIM」、または「eSIMとeSIM」の2パターンあり、デュアルSIMを活用すれば、次のようなことに使えます。
・仕事用とプライベート用に電話番号を使い分ける
・音声通話プランとデータプランを別のプランにする
1台の端末でより便利に使えるようになるでしょう。
海外渡航時に便利
これまで海外でデータ通信を安く利用する場合、次の2つの方法がありました。
・モバイルルーターのレンタル
・プリペイドSIMの購入
現地対応のモバイルルーターをレンタルする方法では、荷物が増え、さらに返却が必要になるため、管理の面で手間がかかります。
プリペイドSIMの場合、SIMカードが1つしか入らない機種であれば、取り出したSIMを保管しておかなければならず、紛失したり破損したりするリスクがあります。
それに比べeSIMではオンラインで完結できるため、物理的なモノの受け渡しが必要ありません。
モバイルルーターやプリペイドSIMにおける、SIMカードを抜き差しする手間や、紛失・破損のリスク、荷物が増えるなどのデメリットが解消されるでしょう。
製品の設計自由度が向上し耐久性も改善
従来のSIMカードでデータ通信する製品の場合、SIMカードスロットのためのスペースが必要です。
SIMカードスロットが不要になれば、SIMカードスロットの分のスペースが空き、製品設計が自由に行えるようになり、スロットがなくなることで防塵・防水性も向上できます。
小さな製品でもデータ通信が可能に
チップ型のeSIMは、従来のSIMカードに比べて非常に小さいことが特徴です。これまでモバイルデータ通信機能の搭載が難しかったサイズの小さな製品でも、eSIMを搭載することでデータ通信が可能になるでしょう。
eSIMのデメリット
eSIMは、物理的に取り外すことができないため、他の機種に移し替える際に、手続きに手間が発生します。
複数端末を切り替えて使うときに手間がかかる
「予備のスマートフォンを持ち、故障したときにSIMカードを入れ替えて使う」という使い方をする場合、少し手間がかかります。
なぜなら端末を切り替える際に、予備機分のプロファイルを発行してもらわなければならないためです。eSIMでは、発行されたプロファイルはその端末固有のものになっており、その端末でしか利用できないません。予備端末でeSIMの設定が必要になるのは、物理的なSIMカードの入れ替えに比べてやや手間がかかるでしょう。
機種変更時に設定が必要
プランはそのままで端末だけを変更する場合でも、新しい端末分のプロファイルが必要になります。
カードの入れ替えをするだけで新しい端末が使えるようになる従来のSIMと比べると、やや面倒といえます。
eSIM利用時の注意点
eSIMを利用する際の注意点を解説します。
eSIM対応端末を用意する
eSIMに対応していない端末は、eSIMを利用することはできません。eSIMを申し込む前に、利用する端末がeSIMに対応していることを確認しておきましょう。
SIMロックが解除されているか確認
eSIMが内蔵されたスマホであっても、SIMロックが解除されているかの確認が必要です。
というのは、購入した携帯電話会社のeSIMしか利用できないという「SIMロック」という制限が掛けられている可能性があるからです。
製造元(メーカー)から直接購入した端末の場合はこの可能性はほとんどありません。
携帯会社を通して回線とセット契約で購入した端末は使用前に一度確認しておきましょう。
SIMロック解除の手続きは、各携帯電話会社で受け付けているため、それぞれの公式サイトで確認してください。
eSIMとSIMカードの違い
eSIMと従来のSIMカードの違いをまとめると、次のとおりです。
(※1)出典元: eSIMについて | NTTドコモ
(※2)出典元:受取方法とお届けまでの日数 | NTTドコモ
基本的にSIMカードよりもeSIMのほうが利便性は高いため、eSIMとSIMカードで迷われているのであれば、eSIMにすることをおすすめします。
eSIMは携帯電話に組み込み
eSIMは携帯電話の基盤に組み込まれています。
一方SIMカードはICチップがついた小さなプラスチックカードであり、携帯電話のSIMトレイに入れて利用するものです。
eSIMはオンラインで完結できる
キャリアの電波を利用するために必要な「プロファイル」は、eSIMの場合はオンラインでダウンロードできます。
一方SIMカードの場合は、通信キャリアでSIMカードにプロファイルを入れたあと、配送業者によって配達されます。
海外データ通信用eSIMならは最短10分で開通できる
「5.1.開通までの時間が早い」でもご紹介した通り、
ahamoの場合、申込みから最短1時間で開通できます。
これは、音声通話に対応した国内向け格安プランで、eSIMで契約した場合は、オンライン申込後すぐに利用できます。
SIMカードの場合は、SIMカードが配送されてくるまで待つ必要があり、最短で3日かかります。
さらに、海外データ通信用eSIMサービスなら、最短10分で開通できるサービスも出てきました。
海外データ通信用eSIMサービスとは、海外でデータ通信を安く利用できるスマートフォン用インターネット通信サービスです。
一時的に渡航先の国で使える通信プランを割安で契約し、渡航時にスマートフォンでQRコードを読み取れば、
現地でインターネット通信が行えるというサービスです。
「5.5.海外渡航時に便利」でもご紹介した通り様々なメリットがあります。
eSIMは紛失・破損の心配なし
海外渡航時に現地通信会社のSIMカードを挿入するなどで、SIMカードを一時的に取り外す場合、紛失したり破損したりする可能性があります。
国内通信キャリアをeSIMにしておけば、取り外す作業自体が不要になるため、紛失したり破損したりする心配がいりません。
まとめ
eSIMのメリット・デメリットをまとめると、次のとおりです。
メリット
・契約手続きがオンラインで完結し、開通までが早い
・SIMカード入れ替え等に伴う不具合が減少する
・1台の端末で複数のプランを切り替えできる
デメリット
・別の機種を使うとき、手続きがやや面倒
eSIMはデメリットに比べてメリットが大幅に上回っていることがわかります。
2025年にはスマートフォンへのeSIMの実装が約9億台になると予測されており、eSIM搭載端末の比率が40%を超えると言われていることから、各スマホメーカーにおけるeSIMへの対応は今後ますます加速していくでしょう。
2023-9-20
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