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PBX(構内交換機)とは?仕組み・選び方・ビジネスフォンとの違いを初心者にわかりやすく解説!

2024-1-15

本記事では、PBXの機能やタイプ、設置形態の種類についてわかりやすく解説します。

この記事を読むことでPBXに対する理解が深まります。

 

PBXとは

PBXはPrivate Branch Exchangeの略称で、日本語では「構内交換機」といいます。

簡単に説明すると、PBXはオフィス・コールセンター内の「小規模な電話局」のようなもので自社内に独自の通話網を作り、ISDN回線・加入者電話網と接続したり、別拠点に設置されたPBXと相互接続します。

 

外線通話の制御だけでなく、自拠点内・複数拠点間での内線通話を可能にし、従業員における電話利用の利便性を向上するために、企業がオフィス内に設置する設備です。PBXを利用することで、同一企業内にプライベートな電話網を構築できます。

PBXの目的

PBXの目的は、主に次の2つです。

同一企業内における電話料金の削減と、電話の利便性の向上です。

同一企業内における電話料金の削減

 

 

社員同士が通話するときに、一般電話回線を使用すると、通話料金がかかってしまいます。ですがPBXの内線機能を使えば無料で通話できるので、コストを削減できます。

電話の利便性の向上

PBXには、電話を便利に使うための機能がたくさん付加されています。

たとえば他の電話機から保留を解除する機能や、外線を他の電話機に転送する機能などもPBXが提供しています。

PBXとビジネスフォン主装置の違い

PBXとビジネスフォン主装置の違いは、収容する回線数の規模です。

収容する回線数の多いものをPBX、少ないものをビジネスフォン主装置と呼びます。

ビジネスフォンは小規模で一拠点での運用に適しているのが特徴です。機能面は、電話網で使用できる基本機能を中心に、社内放送やインターホンと連携させることができる機種もあります。

PBXの主な機能

わたしたちが普段何気なく使用している、オフィスの電話の便利な機能は、PBXによって提供されています。

 

ここではPBXの代表的な機能を、次の6つのカテゴリに分けて紹介します。

内線

内線相互接続

PBXによって、オフィス内の内線通話を可能とします。内線通話だけでなく、一度受けた電話をオフィス内のほかの従業員へ転送する機能もあります。同一企業内の電話機を接続し、通話機能を提供します。

内線代表

内線電話機を呼び出した際に相手が話中だった場合、他の内線電話機を呼び出します。

着信音識別

内線と外線の着信音を分けることで、どちらの着信なのかを応答前に識別できます。

発信

短縮ダイヤル

短縮ダイヤルを登録することで、どの電話機からでも短い番号で電話をかけられます。

三者通話

外線の相手と通話中に、内線を加えて3者で通話できます。

着信

付加番号DID着信

着信時にガイダンスを流し、相手のボタン押下に応じて特定の内線電話機に着信させます。

ダイヤルイン

ダイヤルイン契約回線を収容し、局から送られてくる着番号情報を元に、PBXが着信先を振り分けます。

内線番号をダイヤルしなくても特定の内線電話機を呼び出したり、FAXに着信させたりできます。

転送

話中転送

話中の場合、あらかじめ設定された電話機に自動転送します。

不在転送

不在設定時に着信があったとき、他の電話機に自動転送します。

不応答転送

一定時間応答がなかった場合、他の電話機や電話機のグループ等に転送します。

保留

自己保留

保留の解除は保留した電話機のみが可能であり、他の電話機から保留を解除・応答されることがありません。

パーク保留

保留した電話機以外の電話機が、保留を解除し応答できます。

その他

テナント機能

回線や電話機をグループに分け、テナントグループごとに運用できます。

昼夜切り替え

営業時間に合わせて、外線着信時の応答形態を自動で切り替えられます。

PBXの種類

PBXは、利用するネットワーク種類に応じて、大きく次の2種類に分けられます。

それぞれの違いを見ていきましょう。

レガシーPBX

レガシーPBXは、社内に専用の機器を設置して電話網を通じてサービスを提供するPBXです。

 

収容する外線は、アナログ回線やISDN回線、専用線であり、アナログ回線やISDN回線を通じて公衆電話網に接続します。

オフィス内の電話機をつなぐケーブルには電話線が使われるため、電話用のネットワークとインターネットに使うネットワークが別々に存在することになります。

 

しかしレガシーPBXは機器の購入や電話回線の整備などで初期費用が高額化したり、機器の保守管理が必要なデメリットもあります。しかし反面、通話品質やセキュリティ面の安定性はとても高く安心でしょう。

着信が多くコストをかけてでも通話品質の高さを維持する必要性がある場合に向いているPBXと言えるでしょう。

IP-PBX

IP-PBXとは、レガシーPBXの機能を、電話網ではなくIPネットワーク上で実現するものです。IP-PBX用の交換機器を自社内に設置するタイプか、IP-PBX用ソフトウェアをサーバーにインストールするタイプの2種類があり、収容できる外線にLANケーブルが加わり、内線側でもLANケーブルで配線ができます。

 

サーバーやパソコン、各種アプリケーションと連動させられるため、従来のレガシーPBXよりも高い機能性をもちます。

IP-PBXを利用する企業では、音声通話ネットワークとデータ通信ネットワークを1本化できるでしょう。

 

社内LANが完備している場合や、アナログ回線対応の固定電話機を使用したい場合などに向いています。しかし機能性を追求するなら初期費用がかさむため、小規模な拠点・企業では費用対効果が得にくいでしょう。

IP-PBXのメリット

IP-PBXは、さまざまな点でレガシーPBXよりも優れています。

ここでは、IP-PBXの優位点について解説します。

インターネット回線を利用するため電話回線や固定電話機が無くても運用可能で、レガシーPBXに比べると気軽に導入しやすい一方、電話交換システムを自社内で構築するためセキュリティ対策に気を配る必要があることと社内LANが必要なことが、IP‐PBXの注意点です。

コストが安い

IP-PBXはデータ通信に利用している回線を音声通話に利用できるので、電話線の配線が不要となります。回線を1本化することにより、ランニングコストや管理コストを削減できるでしょう。

アプリケーションと連携できる

音声通話をIP網に統合することで、さまざまなサーバーやアプリケーションと連携できるようになります。

たとえば、着信と同時に発信者の顧客情報をパソコン画面上に表示してくれるCTIシステムや、パソコンのアプリケーションを介して通話できるソフトフォンなどがあります。

スマートフォンを内線電話機にできる

スマートフォン端末を内線電話機として利用できます。

オフィス内ではWiFiを介して、オフィスの外では4G/LTEなどの携帯電話網を介すことでIP-PBXとつながります。

 

従業員がどこにいても内線で無料通話できますし、外線で発信するときも会社の代表電話番号を使って発信できるので、テレワーク勤務者の多い今の時代に適しています。

IP-PBXのデメリット

レガシーPBXよりもさまざまな点で優れているIP-PBXですが、弱点も存在します。

ここでは、IP-PBXが抱える問題について解説します。

 

またインターネット回線経由で通話しますが、交換用の機器・ソフトウェアは社内にあるため電話回線の整備は不要な一方で、社内LANが必要となります。

 

サイバー攻撃に遭う

IP-PBXは、インターネットと同じ回線を利用するケースが多いため、サイバー攻撃の対象となることがあります。

IP-PBXのセキュリティ対策が不十分な場合、第三者がインターネットを介してPBXにアクセスし、電話をかけることが可能になってしまいます。

 

PBXを不正に利用されることで、高額な電話料金を請求されてしまうかもしれません。

停電時に通話できない

レガシーPBXは、電話線を通じて電力が供給されるため、停電時でも通話が可能です。

 

一方IP-PBXは基本的に電話線を利用しないため、停電すると電力が供給されず、通話ができなくなってしまいます。

UPS(無停電電源装置)を利用することで、一定時間の電力供給は可能なものの、利用できる時間は制限されるでしょう。

PBXの設置形態

PBXの設置形態は、次の2種類があります。

それぞれの違いについて、見ていきましょう。

オンプレミス

利用者の施設内に機器を設置し、運用することをいいます。

設備を利用するのは自社のみのため、自由に設定できる点がメリットです。

 

デメリットは、保守費用や管理コストを負担する必要がある点です。

クラウドPBX

通信事業者が管理するPBXの機能を、クラウドサービスとして提供を受けるものです。オフィス内にPBX設備の設置が不要となり、PBXは業者側が保守・メンテンナンスを行うため、管理コストや保守費用が削減されます。

 

利用形態としては、他のユーザーと共用するパターンと、自社専用で使用するパターンがあるでしょう。基本的なサービスは共用するパターンで提供されますが、より専門的なサービスを望む場合は、専用型のサービスを検討するとよいでしょう。

 

PBXの選び方

PBXの選定時に考慮すべきポイントについて解説します。

機能

ビジネスに必要な機能が備わっていることを確認します。

通話機能以外にも、ボイスメールやコール転送、割り込み通話など、個別に必要な機能を確認しましょう。

 

また、スマートフォンとの連携やリモートワーカーによる利用も検討します。

CRMなどのビジネスアプリケーションとの連携が必要な場合は、それがスムーズにできるかを確認しましょう。

設置形態

PBXはオンプレミスで設置するか、クラウドベースのサービスを利用するかを選択できます。

コストやセキュリティ、管理のしやすさを考慮し、自社に適した設置形態を選びましょう。

拡張性

ビジネスの成長予測に応じて、PBXの規模を選定します。

将来的な利用者の増加が見込まれる場合は、拡張性の高いシステムを検討しましょう。

サポートと保守

PBXの選定において、保守会社が提供するサポートについての確認は非常に重要です。

システムが正常に運用されるためには、トラブルが発生した際に迅速で効果的なサポートが必要不可欠だからです。

保守会社の技術力や経験年数、スタッフの取組姿勢などを考慮し、安心して運用を任せられる企業を選定しましょう。

コスト

 

 

PBXを導入する際には、初期費用だけでなく、長期的な視点から運用や保守にかかるランニングコストを検討することが重要です。これらのコストをきちんと算出し、予算に合った選択を行いましょう。

PBXの導入事例

PBXを導入した企業の事例を紹介します。

スマートフォンの内線化によりコストと残業時間の削減を実現

エネサーブ株式会社は、総合エネルギーサービス事業を展開する企業です。

 

社外で活動する社員宛にかかってきた電話への応対や、内勤社員と外勤社員のコミュニケーションが、生産性向上の妨げとなっていました。

そこで、エネサーブではクラウド型PBXサービスを採用し、スマートフォンを内線化して社外と社内をシームレスに接続する環境を構築しました。

 

スマートフォンの内線化により通話料が約25%削減され、かつ従来のオンプレミス型PBXにかかっていた運用管理コストも削減できたとのこと。

この変革により社内外のコミュニケーションが円滑になり、残業時間も減少しました。

 

参考:Arcstar Smart PBX(導入事例 エネサーブ株式会社)-NTTコミュニケーションズ

在宅勤務者が電話応対可能な環境を構築

総合リゾート運営会社である星野リゾートでは、経験豊富な人材が育児や出産などのライフイベントにも柔軟に対応できるよう、全社的に在宅勤務制度を導入しています。

従来の在宅勤務はメール対応や事務作業に限られていましたが、電話応対業務についても在宅勤務者が担当できるようにするため、クラウド型PBXを導入しました。

 

クラウド型PBXにより、予約センターへの電話は在宅勤務者のソフトフォンに優先的に通知され、電話応対できないときはセンターへ着信するという柔軟なシステムが構築されました。

オンプレミス型PBXの改修でも同様の環境が可能でしたが、クラウド型PBXは大規模なシステム改修が不要で、素早い導入が可能であるという利点があったとのことです。

 

参考:Arcstar Smart PBX(導入事例:星野リゾート)-NTTコミュニケーションズ 法人のお客さま

まとめ

PBXは、企業で電話を利用するときに欠かせない設備です。 現在販売されているPBXはIP-PBXが主流ですが、クラウドPBXのサービスを提供する企業も増えており、選択肢は広がっています。

※記載している内容は、掲載日時点のものです

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