
さまざまな業界においてドローンの活用が広がり、大きな変革をもたらしています。
日本国内のドローンビジネス市場は、2022年度から2023年度にかけて前年度比24%増の3,828億円に達する見込みです(※)。
本記事では、9つの業界におけるドローンの具体的な活用事例と海外での活用事例を4つ紹介します。
ドローンが自身の業界にどのように役立つのかご確認ください。
INDEX
- 1.農業のドローン活用事例
- 1.1.農薬散布
- 1.2.生育管理
- 2.建設・土木業界のドローン活用事例
- 2.1.建物点検
- 2.2.測量
- 3.保険業界のドローン活用事例
- 3.1.被災状況の調査
- 4.警備業界のドローン活用事例
- 4.1.侵入者検知・追尾
- 5.物流業界のドローン活用事例
- 5.1.日常的な買い物が困難な山間部への商品配送
- 6.マスコミ・広告制作・映像制作のドローン活用事例
- 6.1.空撮
- 7.エネルギー業界のドローン活用事例
- 7.1.設備の点検
- 8.エンターテイメント業界のドローン活用事例
- 8.1.ドローンショー
- 9.自治体のドローン活用事例
- 9.1.棟梁の定期点検
- 9.2.防災対応
- 9.3.探索・救助
- 9.4.鳥獣害対策
- 10.海外でのドローン活用事例
- 10.1.Amazonによるドローン配送(アメリカ)
- 10.2.輸血用血液の配送(ルワンダ)
- 10.3.ドローン配送事業者による宅配サービス(アメリカ、オーストラリア、欧州)
- 10.4.血液サンプルの輸送(スイス)
- 11.ドローン活用事例まとめ
農業のドローン活用事例
農薬散布
ドローンによる農薬散布は、人を重労働から解放し、より短時間で効率的な作業を実現します。
たとえばJA三島函南、三島函南農業⽤マルチローター利⽤組合(静岡県)では、ドローンを使った薬剤散布により、作業時間がこれまでの3分の1に短縮されました。

従来でも無人ヘリからの空中散布は可能でしたが、住宅が隣接していたり散布場の広さが小さいと小回りの利くドローンのほうが安価であり、扱いやすいという利点もあります。
生育管理
ドローンで上空から撮影した圃場の画像をソフトウェアで分析することにより、生育状況の管理時間を短縮し、収量増加に結び付けられます。
たとえば、ドローンによる上空画像から生育状況のばらつきを測定できるようになり、これまで1時間以上かかっていた調査を5分程度に短縮。
センシング技術を利用することで、効果的な施肥を行えるようになり、10.3%の収量増加を実現しています。
建設・土木業界のドローン活用事例
建物点検
2022年4月1日の建築基準法改正において、建築物の定期調査方法に従来のテストハンマーによる打診に加え、ドローンによる赤外線調査が明文化されました。
上記に伴い、建築物の建物点検にドローンが利用され始めています。
ドローンを活用することにより、人の手が届かない場所での調査が可能になり、足場の設置や大型機材が必要ないため調査期間を短縮できます。
高所に人がいかないため、踏み抜きや落下も防止でき、安全性も高いです。
測量
土木業界には、連続撮影された空中写真から地盤形状を取得できるソフトウェアがあり、その空中写真撮影のためにドローンが利用されています。
ドローンによる測量は、従来の測量器等による測量に比べて人が立ち入れない場所での測量が容易になります。
また調査にかかる日数を短縮でき、効率的です。
保険業界のドローン活用事例
被災状況の調査

損害保険会社では、自然災害による被災状況を確認するために、ドローンが使われています。
たとえば、大規模水害が発生した際にドローンを使って空撮を実施し、空撮画像からソフトウェアを用いて浸水被害状況を確認します。
これまでは、担当者が契約物件の被害状況を一軒一軒訪問していたため、調査に日数を要し、保険金の支払いまでに時間がかかっていました。
ドローンを利用したことにより調査期間は1時間程度に短縮され、顧客への迅速な保険金支払いが可能になりました。
参考:AIG損保の「水災時のドローンを活用した浸水算出モデル」「中小企業の事業継続とリスクマネジメント支援」の2つの取組みが「Insurance Asia Awards 2020」で受賞
警備業界のドローン活用事例
侵入者検知・追尾
警備会社では、警備システムにドローンを組み込みました。
ドローンは警備カメラを含めたセキュリティシステムと連動し、侵入者を検知すると自動的に飛び立ちます。
さらに自動で不審者を追尾するため、侵入後の犯罪を抑止でき、警備においても迅速な対応が可能です。
参考:日本初※1、AIを活用して巡回・侵入監視を行うセキュリティドローン「セコムドローンXX」を開発
物流業界のドローン活用事例
日常的な買い物が困難な山間部への商品配送
周辺の商店が閉鎖するなどで日常的な買い物が困難である山間部の方に対し、日用品を届ける目的でドローンが使われています。
ドローンは回り道をせずに山岳を越えて直線的に移動できるため、自動車よりも短い時間でお届けできます。

アプリから商品を注文する際に、お住まいの地域のドローン着陸拠点を選ぶ仕組みです。
マスコミ・広告制作・映像制作のドローン活用事例
空撮
映像制作業務を行う企業では、ドローンを使って空撮映像を撮影しています。
ヘリコプターを利用するよりも手軽に利用でき、コストを抑えられる点がメリットです。
エネルギー業界のドローン活用事例
設備の点検
電力会社や発電所、石油精製所などのエネルギー事業を行う企業では、設備の点検業務にドローンが活用されています。
ドローンを利用することで、人が容易に立ち入れない危険な場所の点検業務を大幅に効率化できます。
たとえば、これまでは送電線の点検作業はヘリコプターや高倍率スコープを使って目視で行っていました。
ドローンを利用すれば、ドローンから送られてくる映像を確認するだけでよく、大幅にコストを削減できます。
また従来の人では目視できない、死角となっていた場所も撮影できるため、設備の保安向上にも役立ちます。
参考:送電線に沿ってドローンが自動飛行・撮影する「送電線点検用ドローン自動飛行システム」の開発・導入について
エンターテイメント業界のドローン活用事例
ドローンショー
数百~数千機のドローンを飛ばし、上空にイラストや立体的なデザインを作り出りだします。他にも花火や企業のロゴ、映像などを上空に映し出します。

ドローンショーは、スポーツ大会や各種イベントにおける演出に利用されており、使われるドローンはLEDライトで演出するため、大きな音や煙が一切出ないことから、場所を問わず環境に優しくきれいな演出を見ることができます。
ドローンショーは宣伝活動として実施されることが多く、空のエンターテイメントとして企業の認知度が高まるイベントとなっています。
自治体のドローン活用事例
棟梁の定期点検
千葉県君津市では、これまで外注していた棟梁点検の一部を、ドローンを利用することにより職員が実施できるようになりました。
ドローンの操縦から診断までを職員が実施し、コストカットを実現しています。
これまでの棟梁点検では、特殊な大型車両を利用することによる通行止めを避けられませんでした。
市民の利便性を損ねるだけでなく、煩雑な業務も発生していましたが、ドローンを利用することにより業務も簡素化できるようになったとのことです。
防災対応
熊本県南小国町では、2016年に発生した熊本地震をきっかけに、ドローンを導入し、
2020年の豪雨の際は、町内全域の被害調査を行うためにドローンを活用しました。
また大和市消防本部(神奈川県)では、火災現場を上空から俯瞰することで、効果的な消防活動戦術を構築しています。
赤外線カメラを取り付けたドローンによる火災調査を実施し、火種がくすぶっていないか確認しています。

探索・救助
人命捜索にドローンを活用している例もあります。
長野県小谷村では、河川事故の捜索にドローンを活用し、人の足では近寄れない場所で発見に至りました。
ドローン導入前は消防団員が危険を冒して捜索するため、二次災害が起こる危険もありましたがドローンによって捜索範囲が広がり、より安全な捜索が可能になりました。
ドローンによって安全な捜索を実現でき、捜索範囲も広げられます。
鳥獣害対策
危険な鳥獣害を発見するために、ドローンが活用されています。
長野県小谷村では、ツキノワグマの目撃数が増えたこと等により、外部団体に依頼してドローンでの調査を実施しました。
赤外線カメラを利用し、夜間でも発見できる状態にして、発見した場合には、駆除を実施する隊員へ、位置情報を伝達できる仕組みを構築しています。
海外でのドローン活用事例
海外でのドローン活用事例を見ていきましょう。
Amazonによるドローン配送(アメリカ)
世界小売大手のAmazonは、アメリカの一部地域でドローンによる配送サービスを2022年に開始しました。
配達に利用するドローンはアマゾンが開発した製品で、5ポンド(約2.3kg)以内の荷物を1時間以内に配達できる能力があります。
2024年後半には、イタリアやイギリスにおいてもドローン配送を利用できるように目指しています。
参考:Amazon is launching ultra-fast drone deliveries in Italy, the UK, and a third location in the U.S.
輸血用血液の配送(ルワンダ)
アフリカ東部の国ルワンダでは、輸血用血液の輸送にドローンが使われています。
ルワンダは山岳地帯にあり、道路はでこぼこのため、自動車を使った輸送では時間がかかる状態でした。
ドローンを使った輸送では、空中を直線的に移動できるため、配達速度を改善できます。
配送を担う事業者は、ドローン配送事業を手掛ける米企業のZipline(ジップライン)です。
同社はルワンダ政府と契約しており、病院側へ無償で提供しています。
参考:ドローンで病院に“血液”届ける救命ベンチャー「Zipline」–日本からアフリカへ現地取材
ドローン配送事業者による宅配サービス(アメリカ、オーストラリア、欧州)
Google傘下のドローン配送企業「ウィング・アビエーション」はアメリカとオーストラリア、欧州の一部でサービスを提供しています。
同社は薬局チェーン店と提携し、市販薬や生活必需品を通常10分以内に顧客に届けています。
また米小売大手ウォルマートは、ドローン配送事業を手掛けるスタートアップ企業と提携しており、アメリカの対象地域の顧客へ、ドローン配送しています。
参考:米ウォルマート、ドローンによる宅配サービスの対象地域を拡大、6州400万世帯へ
血液サンプルの輸送(スイス)
スイスでは、血液サンプルの輸送にドローンが使われています。
血液検査は緊急を要する場合が多く、できるだけ迅速に運ぶことが要求されます。
ドローンであれば交通渋滞に影響されないため輸送時間を短縮でき、医療機関やその患者に大きな付加価値をもたらしました。
参考:Swiss Post drone transport in the healthcare sector
ドローン活用事例まとめ
業界別のドローン活用事例を解説しました。
効果的に活用することで業務を効率化できます。
また、より少ない人数で業務を遂行できるようになるため、労働力不足を補う効果も期待できます。
※記載している内容は、掲載日時点のものです。


