
少子化が進むなか、保育現場ではICTの導入が大きな注目を集めています。ICTを活用することで事務作業の負担を軽減し、子どもと向き合う時間を増やせるのが大きなメリットです。
本記事では、保育ICの具体的な機能やメリット、導入事例について詳しく解説します。
INDEX
- 1.保育ICTとは
- 2.保育ICTの種類
- 2.1.保育書類の作成をデジタル化
- 2.2.保護者との連絡をオンライン化
- 2.3.登降園管理のデジタル化&請求金額の自動計算
- 2.4.写真販売のオンライン化
- 2.5.キャッシュレス決済の導入
- 2.6.労務のデジタル化
- 2.7.バスの位置情報を配信
- 2.8.監視カメラの導入
- 安全対策
- 保護者の信頼性向上
- 職員のストレス軽減
- 2.9.午睡センサーによる事故防止
- 3.保育ICT導入のメリット
- 3.1.事務作業を減らせる
- 3.2.保育の質が向上する
- 3.3.保護者との円滑なコミュニケーション
- 3.4.コスト削減
- 4.保育ICT導入のデメリット
- 4.1.導入費用やランニングコストが発生する
- 4.2.職員へフォローが必要
- 4.3.システムダウン時に業務が一時的にストップする
- 4.4.反対意見の対応
- 5.保育ICTの実際の導入事例
- 5.1.認定こども園美山こども園:保護者との連絡をオンライン化
- 5.2.豊田市立藤藪こども園:キャッシュレス決済の導入
- 6.保育ICTの導入率
- 6.1.オンラインアンケートでは8割以上の園がICT導入済み
- 6.2.導入されている割合の高いICT機能
- 7.保育ICTに活用できる補助金
- 7.1.保育所等におけるICT化推進等事業
- 特定の4機能(保育の計画/記録・登降園管理・保護者との連絡・キャッシュレス決済)
- 4機能以外の補助対象
- 7.2.保育環境改善等事業(安全対策事業)
- 8.保育ICTの導入の流れ
- 8.1.1.現状の課題の洗い出しと導入する機能を決定
- 8.2.2.ツールやベンダーの選定
- 8.3.3.小規模スタート~本格導入
- 9.保育ICTの回線にはDoRACOONがおすすめ
- 9.1.工事不要で電源を入れるだけで使える
- 9.2.国内の4キャリア回線対応でトラブルに強い
- 9.3.固定回線が使えないときのバックアップ回線としても活用
保育ICTとは
保育におけるICTとは、保育園や幼稚園などで発生するさまざまな情報をデジタル化し、業務の効率化を図る取り組みを指します。事務作業の負担を減らすことで子どもと向き合う時間を増やし、質の高い保育環境を構築できるのが大きなメリットです。
保育ICTの種類
保育の現場では、さまざまな業務をICT化できます。ここでは、主な機能とメリットをわかりやすく紹介します。
保育書類の作成をデジタル化
従来は手書きで作成していた書類を、アプリなどで作成・管理します。同じ内容を何度も転記する必要がなくなるため、大幅に作業を効率化できます。
<デジタル化される主な書類例>
- ・指導計画表
- ・保育日誌
- ・成長経過記録
- ・健康管理記録
- ・児童保育要録
- ・児童票
保護者との連絡をオンライン化
これまで印刷物を配布していた連絡をデジタル化します。印刷や配布の手間が省ける上、「書類をもらった・もらっていない」という行き違いも防止できます。さらに、保護者も紙の書類を管理しなくて済み、いつでもどこでも確認できるようになります。
<オンライン化される保護者間連絡の例>
- ・連絡帳
- ・おたより
- ・献立表
- ・アンケート配布・回収
- ・出欠連絡

登降園管理のデジタル化&請求金額の自動計算
子どもの登園・降園時間をデジタルで管理します。延長保育の利用時間などを自動集計し、請求金額も自動で算出できるため、紙での集計に比べて業務負担が減り、転記ミスも防げます。
写真販売のオンライン化

写真販売をオンライン化すると、以下のような事務作業を大幅に削減できます。
- ・園内での写真掲示
- ・保護者からの注文の取りまとめ
- ・注文数分の印刷
- ・保護者ごとの仕分け・配布
- ・集金
保護者は24時間いつでもどこでも写真を注文できるため、利便性が高まります。
キャッシュレス決済の導入
集金業務をキャッシュレス化すると、次のようなメリットがあります。
- ・領収書の発行や釣り銭の用意が不要になる
- ・釣り銭の間違いなどのヒューマンエラーを防げる
- ・システム上に支払履歴が記録されるため、トラブルを回避しやすい
- ・現金を持ち運ぶ必要がなくなり、職員のストレスを軽減できる
- ・会計処理にかかる時間を短縮できる
保護者にとっても現金を準備する手間が省けるので、満足度の向上が期待できます。
労務のデジタル化
アプリを使って職員の出退勤管理やシフト作成を行うことで、事務作業を効率化できます。
バスの位置情報を配信
送迎バスの現在位置をアプリ上で確認できるため、保護者と子どもは外で長時間待つ必要がなくなります。天候の悪い日もバスの到着タイミングに合わせて家を出られるため、保護者の負担を軽減し、満足度を高めることができます。

監視カメラの導入
園内に監視カメラを設置することで、安全対策や事故防止、トラブル対応に役立ちます。
安全対策
子どもがケガをした際の映像を振り返り、原因を確認できます。再発防止策の検討にも役立ちます。
保護者の信頼性向上
安全管理に力を入れている姿勢をアピールでき、保護者の安心感と信頼を高められます。
職員のストレス軽減
ケガに関するクレームがあった場合、映像を基に事実確認が可能です。職員が理不尽な疑いをかけられるリスクを減らすことができ、安心して保育に集中できる環境を整えられます。
午睡センサーによる事故防止
うつぶせ寝や子どものバイタル(呼吸や心拍など)を検知できるICT製品を導入することにより、午睡中の事故を防ぐことができます。
保育ICT導入のメリット
保育ICTを導入すると、さまざまな利点があります。
事務作業を減らせる
- ・登降園管理の自動化:打刻システムで手書きの出欠管理が不要に
- ・連絡帳のデジタル化:アプリで簡単入力&一斉配信が可能
- ・事務作業の軽減:給食管理・保育計画の作成もデジタル化で時短
各種書類の作成や印刷・配布、電話対応などの事務作業に費やす時間を大幅に削減できます。転記ミスや情報の漏れも減り、業務全体を効率化できるのが大きな特長です。紙代や印刷コストの削減も期待できます。
保育の質が向上する
- ・保育士が子どもと向き合う時間が増える:事務作業が減り、子どもと過ごす時間を確保
- ・園児の発達管理がしやすい:成長記録をデータ化し、個別の対応がしやすくなる
- ・安全管理の強化:お迎え時の認証システムや緊急連絡の迅速化が可能

事務作業に割く時間が減ることで、職員が子どもと向き合う時間をより多く確保できます。また、園児の成長や健康管理情報をデータとして蓄積・共有できるため、一人ひとりに合わせたきめ細やかな保育計画を立てることが可能になります。
また、システムに入力された情報がリアルタイムで共有されるため、職員間の連携がスムーズになります。
保護者との円滑なコミュニケーション
- ・連絡のスムーズ化:遅刻・欠席連絡やお知らせをアプリで一括送信
- ・写真・動画の共有:園での活動を保護者へリアルタイムで配信可能
- ・保護者の満足度向上:子どもの成長がデータで見える化される
保護者への一斉連絡や、保護者からの連絡をオンラインで完結できるため、「連絡が届いていない」「見落としてしまった」といったトラブルを減らせます。また、欠席連絡や写真の注文もオンライン化されることで、保護者にとっての利便性が高まり、満足度の向上につながります。

コスト削減
- ・紙の使用量を削減:お便りや連絡帳をデジタル化し、印刷コストを削減
- ・人件費の最適化:事務作業を効率化し、職員の負担を減らせる
- ・補助金の活用も可能:自治体によってはICT導入補助金が利用できる
デジタル化することで大量に必要だった印刷用紙の削減にもつながり、職員の手間が減ることによる残業削減で削減できます。
保育ICT導入のデメリット
保育ICTには多くのメリットがある一方で、課題も生じます。導入前に十分な検討を行い、スムーズな運用をめざしましょう。
導入費用やランニングコストが発生する
システム導入時は、タブレットやPCなどの機器購入費用、クラウドサービスの月額利用料などが必要になります。また、機器の更新や故障時の修理費、保守契約費用など、継続的な費用負担も考慮しなければなりません。
職員へフォローが必要
ICTシステムの操作に慣れていない職員がいる場合、スムーズに使いこなせるようサポートを行う必要があります。またITリテラシーの差を埋めるため初回導入時に研修を実施し慣れないうちはフォローに時間をかけることになるため、研修やマニュアルの整備なども大切です。
システムダウン時に業務が一時的にストップする

システムやインターネット回線にトラブルが発生すると、業務が止まってしまうリスクがあります。オフライン時に備えた手順をあらかじめ用意しておくことが重要です。
反対意見の対応
保護者や職員の中には様々な事情で変化を受け入れたくない方も出てくるでしょう。
その場合は保護者と職員の理解と協力が必要なので事前に説明会を実施し、導入の目的や利便性を伝える必要があります。
保育ICTの実際の導入事例
保育ICTを実際に導入している園では、どのようなメリットが得られているのでしょうか。ここでは、2つの園の事例を紹介します。
認定こども園美山こども園:保護者との連絡をオンライン化
兵庫県川西市にある認定こども園美山こども園では、保護者との連絡の一部(欠席・お迎え時間の変更・おたより・給食の献立など)をオンライン化しました。
朝の欠席連絡の電話を受け、クラス担任を呼びに行くといった作業がなくなり、他の事務仕事に集中できるようになりました。連絡事項の印刷や折り、ホチキス止め、園児名の押印などの一連の作業が不要に。業務負担が大幅に軽減されました。
また、「おたよりを渡した・渡していない」などの行き違いが減り、保育者の精神的な負担が軽くなったとのことです。
参考:保育分野におけるICTの導入効果及び普及促進方策に関する調査研究 報告書 P.134
豊田市立藤藪こども園:キャッシュレス決済の導入
豊田市立藤藪こども園では、集金業務の負担を軽減するためにキャッシュレス決済サービスを導入しています。
もともと口座振替を利用していましたが、引き落としできなかった場合や一時的な料金発生の際は現金による集金も行っており、保育士の精神的な負担となっていました。
キャッシュレス決済サービスを導入した結果、現金の受け渡しや管理に伴うストレスが減り、本来の保育業務に集中しやすくなりました。会計担当者も銀行へ出向く回数が減り、請求額をチェックする時間が大幅に短縮されたとのことです。
参考:豊田市立藤藪こども園 enpay導入事例|enpay(エンペイ)
保育ICTの導入率
ここでは、実際のアンケートの結果を基に、保育ICTの導入状況を見ていきましょう。
オンラインアンケートでは8割以上の園がICT導入済み
2022年12月~2023年1月に行われたオンラインアンケートによると、何らかICTツールを導入している園は8割以上にのぼることがわかりました。
| 回答 | 割合 |
|---|---|
| ICT等を利用している | 81.3% |
| ICT等の導入・利用なし | 17.6% |
| 不明 | 1.2% |
出典:保育分野におけるICTの導入効果及び普及促進方策に関する調査研究 報告書 P.77
導入されている割合の高いICT機能
同アンケートでは、導入している具体的なICT機能についても調査が行われました。上位10種類の機能と、その導入割合は次の表のとおりです。
|
導入しているICT機能 |
導入している割合 |
|
職員が受講する研修をオンラインで実施 |
72.8% |
| 登園・降園管理 |
71.3% |
|
日常的な保護者へのお知らせや緊急時の保護者への連絡のデジタル化 |
68.4% |
|
指導計画の作成 |
58.0% |
|
写真販売のデジタル化(ウェブ閲覧・販売) |
55.9% |
|
出席簿 |
53.7% |
|
職員の出退勤管理 |
51.8% |
|
保育日誌の作成 |
50.6% |
|
スマートフォンやタブレット型端末による子どもの写真の撮影 |
50.3% |
| 身体測定などの健康管理記録のデジタル化 |
50.1% |
出典:保育分野におけるICTの導入効果及び普及促進方策に関する調査研究 報告書 P.46
保育ICTに活用できる補助金

保育ICTを導入する際には、国や自治体の補助金を利用できる場合があります。ただし、実際に利用できるかどうかは、管轄の地域の自治体窓口へ確認してください。
保育所等におけるICT化推進等事業
保育の周辺業務に関わるICTシステムを導入する際、一部の費用が補助される制度です。
特定の4機能(保育の計画/記録・登降園管理・保護者との連絡・キャッシュレス決済)
導入するシステムが以下4つの機能のうち、いくつ備えているかによって補助金の金額が異なります。
- ・保育に関する計画・記録
- ・園児の登降園管理
- ・保護者との連絡
- ・キャッシュレス決済
| 機能数 |
補助金額(1施設あたり) |
|
1機能 |
20万円 |
|
2機能 |
40万円 |
|
3機能 |
60万円 |
|
4機能 |
80万円 |
※端末購入がある場合、上記金額に加えてさらに50万円が補助されます
出典:R7概算要求(保育政策課)P.18
令和6年度から補助対象に加わった「キャッシュレス決済」機能については、すでに他のICT機能導入で補助を受けた園でも、キャッシュレス決済を新規導入する際は再び補助を利用できます。
4機能以外の補助対象
特定の4機能(保育の計画/記録・登降園管理・保護者との連絡・キャッシュレス決済)以外にも、下表に示すような設備に対して補助が受けられます。
|
カテゴリ |
補助費用(1施設あたり) |
|
翻訳機の導入 |
15万円 |
| 認可外保育施設における機器の導入 |
15万円 |
| 病児保育事業等の業務(予約・キャンセル等)のICT化 |
100万円 |
|
児童館のICT化 |
50万円 |
| 医療的ケア児を受けれ入れる保育所等におけるICT機器導入 |
20万円 |
| 「こども誰でも通園事業所」のICT化 |
未導入:50万円 導入済み:20万円 |
出典:R7概算要求(保育政策課)P.18
保育環境改善等事業(安全対策事業)
子どもの安全対策に必要な機器や備品を導入する場合には、次の補助金を利用できます。
|
カテゴリ |
補助費用(1施設あたり) |
|
睡眠中の事故防止のための機器の導入 |
50万円以内 |
| 子どもの見守りに必要な機器の導入 |
20万円以内 |
|
性被害防止のための設備・備品の購入等 |
20万円以内 |
出典:R7概算要求(保育政策課)P.21
保育ICTの導入の流れ
以下の3つのステップを参考に、スムーズな導入をめざしましょう。
1.現状の課題の洗い出しと導入する機能を決定
まずは、園内の業務がどこに負担がかかっているのか、具体的に洗い出します。どのような課題を解決したいのかをはっきりさせることで、導入する機能やサービスを明確にできます。
2.ツールやベンダーの選定
必要な機能がわかったら、複数のツールを比較検討しましょう。以下のポイントを比較することで、導入後の運用トラブルを防ぐことができます。
- ・導入したい機能がすべてカバーできるか
- ・操作感や使いやすさはどうか
- ・アフターフォローは充実しているか
3.小規模スタート~本格導入
いきなり全機能を導入するのではなく、まずは少人数の職員や特定のクラスで試験運用を行いましょう。使いにくい点を洗い出し、改善策を検討することで、スムーズに保育ICTを定着させることができます。
保育ICTの回線にはDoRACOONがおすすめ
保育ICTを導入する際、インターネット回線は欠かせない存在です。
しかし、
- ・「タブレットやPCを使いたい場所で回線工事が難しい」
- ・「施設全体に無線LAN(WiFi)を整備するコストが高い」
といった課題を抱える園も多いのではないでしょうか。

そんなときにおすすめなのが、法人向けデータ通信サービス「DoRACOON」です。
工事不要で電源を入れるだけで使える
DoRACOONは、電源を入れるだけでインターネットに接続できる端末です。携帯電話キャリアのモバイル通信を利用するため、回線工事が不要で、すぐに導入できます。
国内の4キャリア回線対応でトラブルに強い

DoRACOONは国内主要4キャリアのLTE回線を利用でき、利用場所に応じて自動的に回線を選択します。万が一、特定キャリアで通信障害が発生しても、別のキャリアへ切り替えられるため、通信が止まるリスクを減らせます。
固定回線が使えないときのバックアップ回線としても活用
固定回線に障害が起きたときの予備回線としても利用可能です。さらに、モバイルルーター型の端末にはバッテリーが内蔵されているため、停電時でもインターネットを使えます。災害などで固定回線が使えないときの緊急連絡用としても頼りになります。
まとめ
保育ICTを導入すれば、事務作業の負担が軽減されるだけでなく、保育の質向上や保護者からの信頼度アップにもつながります。補助金制度をうまく活用すれば導入コストを抑えられる可能性があるため、まずは管轄の自治体に問い合わせてみることをおすすめします。
※記載している内容は、掲載日時点のものです




