
インターネットを快適に利用する上で大切な指標となる回線速度。回線速度は速ければ速いほど良いですが、ある程度の速度に達していたらそれ以上速度を上げるメリットは少なかったりします。
そこで今回は、インターネットを快適に利用するためには具体的にどれくらいの回線速度があればいいのか解説していきます。
INDEX
- 1.回線速度の用語解説
- 1.1.bpsは「1秒あたり送れるデータの量」
- 1.2.ping値(レイテンシ)は応答にかかる待ち時間
- 1.3.上り(アップロード)と下り(ダウンロード)の違い
- 2.一般的な回線速度はどのくらい?
- 2.1.固定回線(光、CATV)の場合
- 2.2.モバイル回線(スマホ、モバイルルーター、ホームルーター)の場合
- 3.回線速度は一定値を超えれば十分
- 4.回線速度の目安
- 4.1.SNS
- 4.2.動画の視聴(YouTubeやNetflix)
- 4.3.Web会議(Zoom、Webex、Teams等)
- 4.4.メール・チャット
- 4.5.大容量ファイルのダウンロード
- 5.使っているインターネット回線速度を調べたい時は?
- 6.回線速度が遅い時に試しておきたいこと
- 6.1.ルーターの電源を入れ直す
- 6.2.屋外に出る
- 7.「IPoE」対応プロバイダーならより高速に通信できる
- 7.1.IPoEとは
- 7.2.IPoEが速い理由は設備にゆとりがあるから
- 7.3.IPoEに対応した主なISP
- 8.20~30Mbpsあればインターネットは快適になる
回線速度の用語解説
回線速度を表す、用語や単位について解説します。
bpsは「1秒あたり送れるデータの量」
bpsは「ビット・パー・セカンド」の略称で、「1秒あたり何bit(ビット)のデータ量を送れるか」を示します。たとえば10Mbpsなら、1秒あたり10メガビットのデータを送れます。
なおファイルの容量やストレージ容量を表すのに用いられる単位はByte(バイト)であり、bitとは異なる点に注意してください。1Byte=8bitで変換できますが、回線速度を表すときはbitが用いられます。
ping値(レイテンシ)は応答にかかる待ち時間
私たちがリンクをクリックしたとき、デバイスがリンク先のデータを受け取るまでには時間がかかります。このように「リクエストしたデータを、デバイスが受け取リ始めるまでにかかる時間」のことを、ping値またはレイテンシと呼びます。単位はms(ミリ秒=1000分の1秒)です。
上り(アップロード)と下り(ダウンロード)の違い
上り(アップロード)速度は、ユーザー側からデータを送信するときの速度を示します。上りを使う場面は、電子メールの送信や、ビデオ会議、オンラインゲームなどがあります。
下り(ダウンロード)速度は、インターネット側のサーバーがユーザーに向けてデータを送信するときの速度です。たとえばストリーミング動画を見たり、ファイルをダウンロードしたりするときは、「下り」になります。
一般的な回線速度はどのくらい?
国内の一般的な回線スピードはどれくらいなのでしょうか?speedtest.net https://www.speedtest.net/global-index/japan で集計されたデータを見てみましょう。なお回線速度は速い人と遅い人の差が大きいため、ここでは中央値(観測された値の中間地点にある値)を用います。
ご自分で計測したデータと比べることで「一般的な速度よりも速いか・遅いか」がわかります。
※データは2021年11月22日時点のものです
固定回線(光、CATV)の場合
項目 | 固定回線速度における中央値 |
上り速度 | 85.9Mbps |
下り速度 | 91.25Mbps |
ping値 | 11ms |
出典:speedtest.net https://www.speedtest.net/global-index/japan
h3 モバイル回線(スマホ、モバイルルーター、ホームルーター)の場合
項目 | モバイル回線速度における中央値 |
上り速度 | 8.69Mbps |
下り速度 | 40.51Mbps |
ping値 | 38ms |
出典:speedtest.net https://www.speedtest.net/global-index/japan
回線速度は一定値を超えれば十分
回線速度が速いことに越したことはありませんが、一定の速度を超えればそれ以上速度を上げるメリットがほとんどなくなります。
使用しているインターネット用の光回線が、最大1Gbps以上出るものだとしても、実際の通信で発生する速度は高くても30~40Mbpsしか必要としないということが多いのです。
一度に通信できるデータ量には制限があるため、接続先のインターネットサービスプロバイダー(ISP)のサーバーでは同時に複数のユーザーが接続している状況下でパフォーマンスを落とさないように、ネットワーク速度を制限していることがほとんどです。
例えば使用しているインターネット用の光回線では契約上のプランが1Gbps以上だった場合でも、接続先のサーバーでインターネットサービスプロバイダー(ISP)が最大速度を40Mbps程度に制限していたら、最速でも実効速度は40Mbpsしかでません。
そのため、ある程度の回線速度になると、それ以上速度を上げるメリットが少ないのです。
回線速度の目安
回線速度の目安はインターネットを使う目的によって異なります。
ここではインターネットで使うことが多い以下のケースにおける回線速度の目安をまとめました。
- SNS
- 動画の視聴
- Web会議(Zoom、Webex、Teams等)
- メール・チャット
- 大容量ファイルのダウンロード
SNS

SNSは通信速度をほとんど必要としません。例えばTwitterで画像・動画を閲覧する場合、2~3Mbpsあれば快適に視聴できるので、通信速度を気にする必要はほとんどないのです。
ショート動画がメインでほかのSNSよりも通信量が大きくなりやすいTiktokでも4~5Mbpsあれば十分であるため、SNSの利用においては通信量超過による速度制限時でなければ通信速度が不足するシーンというのはほとんど無いでしょう。
動画の視聴(YouTubeやNetflix)
YouTubeやNetflixなどの動画ストリーミングサービスで、高画質動画を視聴する場合はそれ相応の通信速度を要求されると思われがちですが、特別速い速度を求められるわけではありません。
高画質なフルHD解像度での視聴でも20~30Mbpsあれば十分であり、安定して接続できる回線があれば何も問題なく視聴することが可能です。
30Mbpsという速度は光回線では当然ですが、格安SIM(MVNO)に分類される通信環境を利用している場合は、速くても10~15Mbpsしかでないということが珍しくなく、使用する動画サービスによっては通信速度不足で動画が止まってしまうことがあります。
例えば、Netflixやプライムビデオ・HuluなどのVODでは、高解像度でストリーミング再生する場合、格安SIM環境だと通信速度が足りずに動画が止まってしまいやすいです。
そのため、映像が度々止まる場合は画質(解像度)を下げて再生するか、オフライン再生機能(対応しているサービスのみ)を使用する必要があります。
Web会議(Zoom、Webex、Teams等)
リモートワークの増加によりZoomなどを使ったWeb会議を行うシーンが増えています。
音声のみのWeb会議であればほとんど通信速度を求められないため、インターネットの接続が安定していれば、どれだけ通信速度が遅くても安定して会議を進行できるでしょう。
Webカメラなどを使ったビデオ通話は音声のみのWeb会議と比較すると求められる通信速度が上がり、低速すぎる通信回線だと映像がたびたび止まる症状が発生することがあります

ビデオを使ったミーティング(画面共有・Webカメラ)をする場合は、最低でも上り・下りともに3Mbps以上の通信回線を用意し、可能であれば10Mbps程度出せる回線を用意すべきでしょう。
フルHD解像度でビデオ共有する場合は、最低5Mbps、理想は15Mbps以上あれば安定します。
ちなみに、ミーティング中にファイルの共有を行う場合、ファイルアップロード・ダウンロードにネットワーク帯域を占有されるため、ビデオ通話ができるギリギリの通信速度だった場合は、映像が止まる可能性があります。
ほかにも、Zoomを繋ぎつつインターネット通信が必要な別の作業をしていたら、さらに通信速度を求められることでしょう。
その場合は20Mbps・30Mbps以上の余裕を持った回線を使う必要があります。
メール・チャット
メールやチャットで必要な通信速度は「インターネットに接続できるなら問題ない」というレベルです。
ただし、画像や動画ファイルなどのリソースファイルを送付する場合はある程度の通信速度が必要です。
通信速度があまりにも遅いとメールサーバーに添付ファイルを送るのに時間がかかり、送信から受信までの時間が長くなってしまうので、最低でも1Mbpsはあったほうがいいでしょう。
多くのインターネット環境では10Mbps以上なので、基本的には気にする必要のない問題と言えます。
大容量ファイルのダウンロード
大容量ファイルのダウンロードは高くても100Mbpsあれば十分です。
大容量ファイルをダウンロードする場合、ダウンロード速度が速ければ速いほどダウンロード時間も短くなりますが、ファイルを転送するサーバー側のダウンロード速度も速くなければいけません。
多くのサーバーは通信が混雑しないよう通信速度に制限をかけていることが珍しくなく、500Mbps以上出せるインターネット回線を利用していても、ダウンロード速度は30Mbpsにも満たないということがよくあります。
500Mbps以上の速度でファイルをダウンロードできることもあるにはありますが、それはレアケース中のレアケースです。基本的にないものと思っておきましょう。
使っているインターネット回線速度を調べたい時は?

今自分が使っているインターネット回線の通信速度は簡単に調べることができます。
- Fast.comにアクセス。
- 自動的に通信速度の測定が始まり、測定完了次第ダウンロード速度が表示される
- アップロード速度も測定したい場合は[詳細を表示]をクリック or タップ
難しい知識は必要なく、たった3ステップで回線速度を調べることができるので、気になる方はぜひ試してみてください。
回線速度が遅い時に試しておきたいこと
4G/5G/光回線/WiMAX2+といった現在主流の回線で、回線速度が遅くてインターネットが使いづらいというシーンはめったにありません。
ですが、場合によっては快適にインターネットを利用できない程度にまで速度が落ちてしまうことがあります。
回線速度が遅いときに試しておきたいことについて簡単に見ていきましょう。
ルーターの電源を入れ直す
何年も使っているルーターの場合、経年劣化で熱暴走を起こしやすくなっていることがあります。
ルーター本体が高熱になると、これ以上熱を持たないようにルーターの性能を大きく落とすことがあり、その状態のときは回線速度が大幅に制限された状態になっていることが多いです。
ルーター本体を触ってみて、火傷しそうなくらい熱くなっていたら電源を落としてしばらく放置して冷ましてから電源を入れ直すといいでしょう。
ただし、根本的な解決にはなっていないため、熱暴走問題を完全に解決したい場合は買い替えを検討しましょう。
屋外に出る
外出時に4G/5Gなどのモバイル回線に接続しているにも関わらず、回線速度が遅すぎて画像や動画が全然表示されない・読み込めないという時があります。
もし屋内にいる場合は、壁などの障害物によって電波を上手く受信できていない可能性が高いため、一度屋外に出てみると良いでしょう。屋外に出ても通信速度が改善されない場合は、多くの方が同時に利用しているフリーWi-Fiに自動接続してしまっている可能性があるのでWi-Fi自動接続をオフにしておきましょう。
ちなみに、インターネット回線の電波は金属を通さないため、トイレなど金属が多い場所では極端に回線速度が落ちることがあります。
少し移動しただけで回線速度が元通りになることも珍しくないので、速度が遅いと感じるときは少し移動してみるようにしてください。
「IPoE」対応プロバイダーならより高速に通信できる
これから光回線を敷設する場合、次世代のインターネット接続方式であるIPoE方式に対応したISP(プロバイダー)を利用することも1つの手段です。
IPoE方式は、これまで主流だったPPPoE方式よりも高速に通信できます。

IPoEとは
従来の接続方式「PPPoE」では、接続するユーザーごとに、プロバイダーはセッションを確立する必要がありました。セッションをわかりやすく例えると、「通話状態」です。
たとえばAさんがインターネットに接続するとき、プロバイダーはAさんを「通話状態」にして管理します。
「IPoE」では、セッションの確立なしで通信を行えることが特徴。企業内ネットワークでは、ルーターが各パソコンにIPアドレスを割り当てて通信を行いますが、IPoEのしくみはこの企業ネットワークと同じです。
IPoEが速い理由は設備にゆとりがあるから
従来のPPPoE方式において、プロバイダーが設備(NTE)を増強するときは、NTTの増設基準を満たす必要があります。ただ基準が厳しいため、プロバイダーはかんたんに増設できません。よって設備がボトルネックとなり、混雑時に速度の低下を招いていました。
一方IPoEでは、各プロバイダーが自社判断で設備(GWR)を増強できます。大容量化させることで混雑時でもボトルネックを生じさせません。
設備にゆとりがあるため、IPoEのほうがPPPoE方式よりも安定して通信できます。
IPoEに対応した主なISP
光回線でインターネット接続をしている場合、PPPoEは
2021年9月6日時点
20~30Mbpsあればインターネットは快適になる

回線速度は最低でも20~30Mbpsあればほとんどのインターネットサービスを快適に利用できます。
20~30Mbpsの通信環境で難しいことは、4K解像度の動画をストリーミング再生することくらいです。大容量ファイルのダウンロード・アップロードは多少時間がかかるものの、できないわけではありません。
光回線であれば高速通信は可能であるので問題ありません。ドコモ、au、ソフトバンクなどの大手モバイルキャリアの回線も十分な速度を出せることでしょう。
格安SIMユーザーのみ満足のいく速度を出しづらいことが多いですが、5~10Mbps程度でも実用面で困る場面はあまり多くありません。
通信速度が20Mbps未満で困る可能性があるシーンは、VODで動画をフルHD/4K解像度でストリーミング再生するシーンがほとんどなので、そのシーンに遭遇しない限りは問題ありません。
大容量ファイルのダウンロード・アップロードも時間が長くなるだけであり、できないわけではありません。
ですので、月間通信量が定められているなどの理由で速度制限を受けない限り、快適にインターネットを利用することができることでしょう。

2022-6-24

2022-6-16
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