
グローバルアドレスを固定できる固定IPアドレスは、多くの企業にとって必要不可欠の機能です。
本記事では、固定IPアドレスの概要やメリット・デメリット、活用シーンをわかりやすく解説します。
INDEX
- 1.固定IPアドレスとは
- 2.固定IPアドレスと動的IPアドレスの違い
- 2.1.固定IPアドレス
- 2.2.動的IPアドレス
- 3.固定IPアドレス・グローバルアドレス・プライベートアドレスの違い
- 3.1.グローバルアドレス
- 3.2.プライベートアドレス
- 3.3.固定IPアドレス
- 4.固定IPアドレスの活用シーン
- 4.1.自社内のサーバーをインターネット上に公開する
- 4.2.リモートアクセスVPNを利用する
- 4.3.ネットワークカメラなどの機器を管理する
- 4.4.指定したIPアドレス以外からのアクセスを遮断してセキュリティを高める
- 5.固定IPアドレスのメリット
- 5.1.外部からいつでも接続できるようになる
- 5.2.セキュリティ強化に利用できる
- 6.固定IPアドレスのデメリット
- 6.1.利用には料金がかかる
- 6.2.攻撃を受けるリスクが高まる
- 7.固定IPアドレスサービスを提供するプロバイダ
- 7.1.光回線の場合
- 7.2.モバイル回線(携帯電話回線)の場合
- 8.端末のIPアドレスを確認する方法
- 8.1.グローバルアドレスを確認する方法
- 8.2.プライベートアドレスを確認する方法
- 8.3.固定IPアドレスを確認する方法
- 9.固定IPアドレスを活用しよう
固定IPアドレスとは
固定IPアドレスとは、パソコンやスマホからインターネットに直に接続する機器に振られるIPアドレスというインターネット上の住所ともいえる数字を持っています。自分専用に割り振ってもらうプロバイダーのサービスの1つで常に同じアドレスを保有できるものです。
通常、機器を再起動するタイミングなどでグローバルアドレスは変わりますが、固定IPアドレスを取得することで、常に同じグローバルアドレスを利用できます。
例えるなら、フィットネスジムで利用できる自分専用のロッカーのようなものです。
通常は他のユーザーとロッカーを共用するため、どの番号のロッカーが割り当てられるのかはわかりません。ですがお金を出すことで、特定の番号のロッカーを自分専用にできます。

固定IPアドレスと動的IPアドレスの違い
固定IPアドレスは、常に同じグローバルアドレスを利用できます。
一方動的IPアドレスは、インターネット接続が確立するたびに割り当てられ、機器の再起動のタイミングなどでアドレスが変わります。

ユーザーは通常、動的IPアドレスを利用しており、一般的な使い方であれば動的IPアドレスで問題はありません。
固定IPアドレスはISPのオプションサービスとして提供されます。
IPアドレス(Internet Protocol Address)は、ネットワークに接続された機器(PC、スマートフォン、ネットワークプリンタ等)を識別するために各機器に割り振られる番号です。簡単に言えば、通信の宛先を決定するための「ネットワーク上の住所」です。
IPアドレスには、規格の違いにより「IPv4」と「IPv6」の2種類があります。さらにIPv4のIPアドレスには「プライベートIPアドレス(ローカルIPアドレス)」と「グローバルIPアドレス」があり、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスそれぞれについて「固定IPアドレス」と「動的IPアドレス」があります。
固定IPアドレス
専用のIPアドレスを割り当てる方式で、一度割り振られた識別番号がずっと変わらないタイプのIPアドレスです。
ネットに再接続しても常に同一のIPアドレスが使用できます。
動的IPアドレス
接続のたびにIPアドレスが変化し常に識別番号が変わっていくタイプのIPアドレスです。
動的IPアドレスは、不規則なタイミングで切り替わりますが、IPアドレスが変わるだけで、Webサイトの閲覧、メールの送受信に影響ありません。
固定IPアドレス・グローバルアドレス・プライベートアドレスの違い
固定IPアドレスとグローバルアドレス、プライベートアドレスの違いは次のとおりです。

一つずつ解説します。
グローバルアドレス
グローバルアドレスとは、インターネットに接続する際に使用するIPアドレスでインターネットに直に接続する機器がもつ、一意の(ふたつと同じものがない)IPアドレスです。
重複することがないようICANNとその下部組織によって世界的に管理されており、日本ではJPNICという団体が管理しています。
管理しているグローバルアドレスの中からISPが割り当てており、ユーザーが任意のアドレスを割り当てることはできません。
固定回線の場合、ルーターのインターネット側インターフェース(WAN側)に、1個のグローバルアドレスが割り当てられます。
割り当てられるアドレスは、機器の再起動などのタイミングで変化します。
プライベートアドレス
プライベートアドレスは、社内LAN(Local Area Network)や家庭内LANなどのローカルネットワークなどで使用する組織や家庭内ネットワーク内で利用されるアドレスです。
家庭内ネットワークなら「192.168.x.x」というプライベートアドレスとなっているケースが多いでしょう。
プライベートアドレスは、下記のいずれかの範囲です。

上記の範囲内であれば、アドレスを自由に割り当てられます。
プライベートアドレスはローカルネットワーク内でのみ有効なアドレスなので、プライベートアドレスのままではインターネットに接続できません。

インターネットに接続するには、プライベートアドレスをグローバルアドレスへ変換する必要があります。
アドレス変換は、ルーターやファイアウォール、サーバーのNAT(Network Address Translation:ネットワークアドレス変換)機能によって行われます。
固定IPアドレス
固定IPアドレスは、ISPに申請することで、常に同じグローバルアドレスを保有できるようにしたものです。
グローバルアドレスは通常、ISPの都合で変更されてしまいます。
外部から接続する必要がある機器を利用する際、アドレスが変化してしまうと接続できなくなり、困ったことになってしまうでしょう。
「外部から接続する必要があるもの」を利用するときは、固定IPアドレスの利用が欠かせません。
固定IPアドレスの活用シーン
固定IPアドレスが利用される場面を解説します。
自社内のサーバーをインターネット上に公開する
ローカル環境にあるサーバーをインターネット上に公開したいときは、固定IPアドレスが必要です。固定IPアドレスを設定することで、接続先が一定になり、いつでもアクセスできるようになります。
リモートアクセスVPNを利用する
テレワーク利用者など、外部から自社ネットワークへ接続する「リモートアクセスVPN」を利用するときも、固定IPアドレスが必要です。
VPNルーターに固定IPアドレスを設定することで、インターネット経由で社内ネットワークに接続できるようになります。
ネットワークカメラなどの機器を管理する
ネットワークカメラなど、機器が直接インターネットに接続しているものを利用する際にも固定IPアドレスは有効です。
固定IPアドレスを設定することで接続先が一定になり、管理しやすくなります。

指定したIPアドレス以外からのアクセスを遮断してセキュリティを高める
セキュリティを高める目的で固定IPアドレスを利用するケースもあります。
機密情報や個人情報などを社外に保存する場合や、社員・委託先が利用する端末に固定IPアドレスを設定することで、クラウドサービスへのアクセスを限定すれば指定したIPアドレス以外のアクセスを防ぐことができ、セキュリティを確保され情報が漏れるリスクを低減できます。
固定IPアドレスのメリット
固定IPアドレスを活用するメリットを見ていきましょう。
外部からいつでも接続できるようになる
ネットワーク機器のIPアドレスを固定することで社外や外出先など、外部からのアクセスがインターネット経由でいつでもできるようになります。
具体的なメリットは以下のとおりです。
- ・ローカル環境にあるサーバーを公開できる
- ・リモートアクセスVPNを利用できる
- ・ネットワークカメラなどのIoT機器の管理が簡単になる
セキュリティ強化に利用できる
接続先の機器に設定すれば、固定IPアドレス以外からのアクセスを遮断することができます。
指定されたIPアドレス以外のアクセスを制限することで、不特定多数のインターネット機器からの接続を遮断できるため、パスワード漏洩でセキュリティ面の不安は減少します。
固定IPアドレスのデメリット
固定IPアドレスのデメリットについても触れていきます。
利用には料金がかかる

固定IPアドレスサービスはISPの有料オプションとして提供されているため、利用するには費用がかかります。
取得したい固定IPアドレスの数が多いほど、負担する金額は大きくなるでしょう。
攻撃を受けるリスクが高まる
IPアドレスが固定されるため、悪意をもった第三者からサイバー攻撃を受けるリスクが発生します。IPアドレスの漏えいにより不正アクセスを受ける恐れがあります。
サイバー攻撃を受けてもサービスを提供できるよう、ネットワークセキュリティを確保する必要があります。
固定IPアドレスサービスを提供するプロバイダ
固定IPアドレスサービスを提供するプロバイダは、あまり多くありません。
これから固定IPアドレスを取得しようと考えている方は、以下を参考にしてください。
光回線の場合
光回線における固定IPアドレスサービスを提供する主なプロバイダは、次のとおりです。
- ・ぷらら
- ・OCN(法人向け)
- ・Asahi Net
- ・BIGLOBE
- ・So-net
- ・GMOとくとくBB
- ・インターリンク
モバイル回線(携帯電話回線)の場合
SIMを使ってモバイル回線に接続する機器については、以下の事業者のサービスを利用することで、固定IPアドレスを利用できます。
- ・NTT PC COMMUNICATIONS
- ・楽天コミュニケーションズ
- ・イプシム
- ・インターリンクLTE SIM
- ・BIGLOBE biz.
- ・mineo M2Mアクセス
端末のIPアドレスを確認する方法
端末のIPアドレスの確認方法を、グローバルアドレスとプライベートアドレス、固定IPアドレスに分けて解説します。
グローバルアドレスを確認する方法
グローバルアドレスを最も簡単に確認するには、CMANへアクセスしましょう。
アクセスした画面に、「あなたの利用しているIPアドレス」が表示されます。
このIPアドレスが、あなたの利用しているグローバルアドレスです。
なおグローバルアドレスはルーターに割り当てられるため、ルーター配下の端末からアクセスする場合、同一ネットワーク内の機器はすべて同じグローバルアドレスとなります。
ブラウザを利用できない端末の場合は、管理画面へログインし、ネットワークの項目を参照しましょう。
プライベートアドレスを確認する方法
プライベートアドレスの確認方法を、利用されるOSごとに解説します。
・Windows10/11の場合
- 左下の検索に「cmd」と入力しEnterキーを押す
- 黒い画面に「ipconfig」と入力しEnterキーを押す
- 「IPv4アドレス」の項目を確認
・iOS(iPhone/iPad)の場合
- 「設定」>「Wi-Fi」と進む
- 接続中のSSID(ネットワーク名)の右にある「i」をタップ
- 「IPアドレス」欄を確認
・Androidの場合
- 「設定」>「ネットワークとインターネット」>「インターネット」と進む
- 接続中のSSID(ネットワーク名)の設定ボタンをタップ
- 「IPアドレス」欄を確認
固定IPアドレスを確認する方法
固定IPアドレスは契約しているISPから発行されるため、ISPの管理画面にログインすることで確認できます。
個々の端末に設定した固定IPアドレスを確認したい場合は、各端末の管理画面へログインしましょう。
固定IPアドレスを活用しよう
リモートアクセスVPNや、インターネットに接続したネットワークカメラを利用する場合には、固定IPアドレスの活用が欠かせません。
またセキュリティを確保する上でも、固定IPアドレスの活用は有効です。
上記のような用途が想定される場合は、ぜひ固定IPアドレスを活用してみて下さい。


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