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ISDNサービス・INSネット(ディジタル通信モード)が2024年に終了!今後必要な対策とは?

2022-9-2

ISDNの「ディジタル通信モード」が2024年1月に終了することをご存知ですか?

この記事ではISDNのディジタル通信モード終了についての詳細を詳しく解説しています。

ディジタル通信モード廃止が自社に影響を与える影響や企業がとるべき対応についても説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。

ISDNとは

 

まず、ISDNとはどのようなサービスかを振り返りましょう。

古いイメージのあるISDNですが、利用する価値は高いサービスです。

ISDNとは「Integrated Services Digital Network」の頭文字をとった言葉であり、日本語では「サービス総合デジタル網」などと訳されます。

 

 

電話線を使用したデジタル回線のインターネット通信技術で、ISDNが普及するまでのインターネット接続方法はアナログ回線でしたが、ISDNはデジタル回線でインターネット接続を行えたため、当時のユーザーはより高速なインターネットを楽しめるようになりました。

 

1988年にNTTからISDNサービスの提供がはじまり、インターネット通信の黎明期を支えてきました。そして、光回線が主流となる2000年代初頭まで、多くの個人・法人が利用していました。

 

一つの回線網で音声通話やFAX、各種のデータ通信などの通信サービスを統合的に取り扱います。従来のアナログ電話回線網を置き換えて高度情報ネットワークを実現するために考案されたもので、日本では主に「INSネット」の名称で提供されました。

 

現在では、高速通信ができる光回線の利用者が増えたことでISDN回線の契約者数は大幅に減少しており、さらにISDNを構築する設備の老朽化も進んでいることから、2025年ごろには機能の維持が難しくなると見込まれています。

電話回線を使うからエリアが広い

ISDNは電話回線を使ったサービスのため、電話回線を引ける場所であればISDNを利用できます。

山間部など光回線がなかなか敷設されないエリアであっても、ISDNなら利用できるパターンが多いでしょう。

1契約で2回線分使える

ISDNは1契約で2回線分同時に利用できる(※)ため、

 

・複数の電話を同時に利用する

・電話とFAXを同時に利用する

 

 

 

といった使い方ができます。

加入電話を2つ契約するよりも基本料金が安く抑えられるため、コストパフォーマンスも優れています。

(※)INSネット64の場合

ISDNの商用サービス「INSネット」

ISDNの商用サービスについても、整理しておきましょう。

 

最も利用者が多いと思われるのが、INSネット64です。

1本で2回線分の電話を利用できるお得なサービスであるため、個人宅や企業において広く普及しました。

 

フレッツISDNは、今でいうところのフレッツ光のような定額サービスです。

なお「INSネット64/INSネット64・ライト」と「INSネット1500」は、2022年6月現在も新規申し込みを受け付けています。

インターネットに接続しないでデータ通信できる

光回線やモバイル回線に慣れてしまっている私たちからすると、「データ通信=インターネット通信」のように感じるかもしれません。

 

もちろんISDNを使って、インターネット接続は行えますが、インターネットに接続しなくても送信相手の端末と直接つながり、データ通信ができるのです。

加入電話と同じしくみで、相手先の電話番号にダイヤルアップ接続し、接続を確立することで繋がります。

 

インターネットを経由しないため、安全に送信できる点がメリットです。

なお使用料金は従量課金制で、加入電話と同じ料金体系です。

安定して通信できる

ISDNはスピードこそ遅いものの、光回線のように「混雑すると遅くなる」といったことがなく、安定して通信できます。

なぜなら電話と同じように、相手先と接続している間は回線を専有できるためです。

安定して通信できる点においては、光回線やモバイル回線よりも優れているといえるでしょう。

ISDNの利用シーン

ISDNの利用用途としては、次の4つのパターンが考えられます。

それぞれの利用用途を見ていきましょう。

電話/FAX

ISDNを電話やFAXに利用しているパターンです。

ISDN1本につき電話番号は1つですが、2回線を同時に使用でき、非常に便利です。

企業間でのデータ通信

ISDNはインターネットを経由せずにデータ通信できるため、情報漏洩を防げます。

ISDNの企業間でのデータ通信は、次のような秘匿性の高い分野に使われています。

バックアップ回線

企業内WANや重要なシステムを冗長化するために、バックアップ用の回線としてISDNを使うケースもあります。

定額料金の光回線に比べると、安価な点が魅力です。

インターネット

ISDN回線を、インターネットへの接続回線として使っているケースも考えられます。

 

・光回線を引き込みできない

・NTT収容局まで距離がありADSLでは速度がでない

 

などの事情がある場合、固定回線でインターネットを使うには、ISDNが選択肢となるでしょう。

ISDNで廃止される「ディジタル通信モード」とは

2024年1月以降、NTT局内のIP網への移行により、ISDNの「ディジタル通信モード」は利用できなくなります。

「ディジタル通信モード」とは、ISDN回線をデータ通信で使うときのモードです。

ちなみに電話やFAXで使うときのモードは「通話モード」といい、こちらは2024年1月以降も継続して利用できます。

 

モードはTA/DSUが自動的に判別するもので、ユーザーが任意に選択できるわけではありません。

たとえば、PCからの信号であれば「ディジタル通信モード」、FAXから信号がくれば「通話モード」と判別され、それぞれのモードで通信が行われます。

ディジタル通信モードを使用しているか確認する方法

ディジタル通信モードを使用しているかを確認する方法は、次の2つあります。

 

・TA/DSUと各機器の接続方法から判断する

・NTTからの請求書に「INS通信料」の料金が発生しているかを確認する

 

TA/DSUの裏側や側面には、さまざまな種類のポートがあります。

TA/DSUに電話線(モジュラーケーブル)以外のケーブルで接続されている機器があれば、ディジタル通信モードを使用している可能性があります。

 

 

 

ディジタル通信モードを使っている場合は、「INS通信料」という項目に、料金が発生しているはずです。

ちなみに通話モードの通信料金は、「INS通話料」という項目に記載されています。

ISDN廃止で影響がある分野

ISDN廃止による影響を、利用用途ごとに見ていきましょう。

結論から申し上げると、電話やFAX以外でISDNを利用している場合は、なんらかの代替策が必要になります。

ISDN回線が終了することで、一般家庭や企業にどのような影響があるのでしょうか。

一般家庭で起こる影響

一般家庭においては ISDN回線の利用者が少なく、すでに光回線への移行が終了しているため、一般家庭ではほとんど影響がないと見込まれています。

企業で起こる影響

さまざまな業務において、未だ多くの企業がISDNサービスの一部である「INSネットディジタル通信モード」を利用しています。

例えば、商品の販売状況を企業の本部と店舗で情報共有する「POSシステム」や、店頭でクレジットカードの有効性を確かめるための「CAT端末」、小売・卸・メーカー間の商品受発注データ通信に使う「EDI(電子商取引)」など、特定の分野の基盤システムとして広く活用されています。

ISDN回線の終了のことを一部では「2024年問題」と呼んでいるように、日に日に迫り来る課題として多くの企業を悩ませています。

電話/FAX:影響なし

電話やFAXでISDNを利用している場合は、影響はとくにありません(※)。

NTT局内で使用される設備が切り替わるだけで、出張工事などもなく、普段どおり使えるでしょう。

ただし料金は全国一律に変わり、安価になります。

 

(※)G4規格のFAXは、利用不可

2024年問題で企業に必要な対応

ディジタル通信モードを利用したシステムを有している場合には、2024年になる前に何らかの対策が必要です。

 

ディジタル通信モードの代替手段として有力視されているのは「インターネットEDI(インターネットを通信手段とした電子データ交換)」の利用です。ただし、インターネットEDIへの移行は簡単なものではなく、システムによっては取引先と連携して計画的に進めなければなりません。

 

また、仮に移行後に何らかのトラブルが発生したとしても、2024年1月を過ぎてしまうとディジタル通信モードを使った方式には戻せなくなるため、事前に入念なテストが必要となります。移行作業にはある程度の期間を確保して取り掛かると良いでしょう。

 

ディジタル通信モードの代替手段であるインターネット回線を利用した「インターネットEDI」は、世界的に見ればEDI(電子データ交換)におけるスタンダードな技術です。2024年の「ISDNサービス・INSネット ディジタル通信モード」廃止を機会に早急に対応し、インターネットEDIへの移行をおすすめします。

 

※「INSネット64」は日本電信電話株式会社の商標または登録商標です。

※「フレッツ」およびその他「フレッツ」関連の名称はNTT東日本およびNTT西日本の登録商標です。

企業間でのデータ通信:他のサービスへ代替

企業間でのデータ通信にISDN回線を利用している場合、他のサービスへ代替する必要があります。

 

・ISDN以外の通信回線へ切り替え

・代替回線に適した端末やソフトへの更新

 

が必要です。

利用用途ごとに、代替案と相談すべき機関をまとめましたので、参考になさってください。

バックアップ回線:他のサービスへ代替

ISDNをバックアップ回線として使用している場合は、他のサービスへの切り替えが必要です。

光回線をメインとして使っている場合は、LTE回線が候補となるでしょう。

インターネット:他のサービスへ代替

ISDN回線をインターネットのアクセス回線として使用している場合、他のサービスへの切り替えが必要です。

 

候補としては、次の2つがあります。

 

・光回線

・ホームルーター(モバイル回線)

 

ISDN廃止でも2027年までは補完策が使える

2024年1月までに他のサービスへの移行が間に合わない場合、2027年ごろまでは、NTTから補完策が提供されます。

 

NTT東西では、ディジタル通信モードの終了までに対応が間に合わないケースが生じることを想定して、その顧客を対象に当面の対応策(補完策)として、ディジタル通信モードと同じように利用できる「メタルIP電話上のデータ通信」サービスを提供するとしています。

これを利用すれば多くのケースで端末間の通信が可能となりますが、ISDNに比べて遅延が発生し、処理時間の増加は避けられません。

 

 

メタルIP電話上のデータ通信はあくまで一時的な救済措置であるため、インターネットEDIへの移行を急ぎましょう。

補完策にはできるだけ頼らず、早めにシステム更新するのがおすすめです。

まとめ

ISDNを電話やFAXで利用している場合は、継続してサービスを利用できますが、データ通信に使っている場合は、他の通信回線へ変更する必要があります。 ISDNを契約している場合は、まず利用用途を洗い出し、ディジタル通信モードでの利用があるかどうかを確認しましょう。 もしディジタル通信モードでの利用があれば、システムを納入したベンダーに相談し、システムの更新と回線の変更手続きを早めに行ってください。

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