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【徹底解説】文部科学省が進めるGIGAスクール構想とは?背景やメリット、問題点について

2023-2-22

2019年12月に文部科学省が表明した小・中・高等学校などにICT環境を整備するGIGAスクール構想。

本記事では、GIGAスクール構想の概要やメリット、問題点についてわかりやすく解説します。

GIGAスクール構想とは

GIGAスクール構想とは、Society5.0時代に対応すべく、「ICTの活用により個別最適化された学びをすべての子どもたちに提供する」ことを目的に、2019年度から行われている文部科学省のプロジェクトのことです。「高速大容量の校内LANの整備」と「1人1台の端末環境の整備」が、プロジェクトの主な柱です。

 

上記の施策は、もともと2023年度までの実現を目指していましたが、新型コロナウイルスの流行で休校する学校が増えたことにより、環境の整備が急ピッチで進みました。

GIGAスクール構想のGIGAとは

GIGAスクール構想の「GIGA」は、「Global and Innovation Gateway for All」の略称で「全ての人にグローバルで革新的な入口を」という意味が込められています。

教育におけるICTを基盤とした先端技術の活用は必須であり、また変化の激しい時代を生き抜くには必要な構想です。

GIGAスクール構想の対象

 

 

 

GIGAスクール構想の対象となる学校は、小学校・中学校・高等学校・特別支援学校等です。

GIGAスクール構想はいつから始まったか

「GIGAスクール」という文言が最初に登場したのは、2019年8月です。

2020年度の概算要求の資料のなかに、「GIGAスクールネットワーク構想の実現」という項目があります。概算要求が提出された4ヶ月後の2019年12月には、GIGAスクール構想の実現に向けた政策がスタートしました。

早急に取り組むべき政策の1つとして、2019年度の補正予算案が可決されました。

 

GIGAスクール構想の背景

GIGAスクール構想が開始された理由について解説します。

学校のICT環境整備の遅れ

1つ目は、学校におけるICT環境整備の遅れです。

文部科学省はリーフレット「GIGA スクール 構想の実現へ」では 脆弱かつ危機的な状況と表現しており、GIGAスクール構想の発表当初(2019年3月時点)において、第3期教育振興基本計画(2018〜2022年度)の目標値は3人に1人程度としていましたが、実績は全国平均で5.4人/1台と達成にはほど遠い状況であり、さらに地域差も大きい状態でした。

出典:GIGAスクール構想による1人1台端末環境の実現等について

授業においてICTが活用されていない

2つ目は国際的に見ても、日本の学校のIT化は顕著に遅れていることが明らかになりました。

授業の中でデジタル機器が使われる時間は、34カ国の先進諸国で構成されているOECD加盟国の中で日本が最下位となっています。

<1週間のうち授業でデジタル機器を活用する時間(国語)>

 

出典:OECD 生徒の学習到達度調査(PISA) 2018年補足資料 P4

GIGAスクール構想の現状・これまでに行われたこと

GIGAスクール構想の中で、これまでに行われたことをまとめました。

1人1台の端末整備

小学校・中学校・特別支援学校を対象に、1人1台の端末環境を整備する事業が行われました。2022年度末までに、98.5%の自治体が整備完了予定となっています。

 

義務教育段階における1人1台端末の整備状況(令和3年度末見込み)  (文部科学省)より引用

高速校内ネットワークの整備

小学校・中学校・高等学校・特別支援学校を対象に、校内ネットワーク環境が整備されました。2022年4月末までに利用を開始できる状態になっている学校は、97.9%。

 

1人1台端末の整備と校内ネットワークの整備については、ほぼ完了している状態といえるでしょう。

 

GIGAスクール構想の実現に向けたICT環境整備の進捗状況について(速報値) (文部科学省)より引用

GIGAスクールサポーターの配置

GIGAスクールサポーターとは、学校のICT環境整備に対し支援を行う人材のことです。

 

行う業務としては、

 

・環境整備の設計

・納品対応

・マニュアルの作成

・使用方法周知

 

などがあり、各学校の環境整備のために配置されています。

緊急時における家庭でのオンライン学習環境の整備

新型コロナウイルス流行に伴う休校が増えたことにより、家庭内で学習するための環境整備も行われました。

行われた事業は、主に次の2つです。

 

 

・Wi-Fi環境が整っていない家庭における環境整備の補助

・遠隔授業を実施する上で、学校側に必要となる機材(カメラ、マイク等)の整備

GIGAスクール運営支援センターの開設

GIGAスクール運営支援センターとは、学校や市町村の枠を超えて広域的にICT運用を支援する事業者のことです。

学校がICT環境を活用する上で、運用面でのさらなる支援が求められています。

GIGAスクール構想のメリット・効果

GIGAスクール構想がスタートしてからすでに4年経過しており、授業におけるPC・タブレット機器の活用が進んでいます。

出典:令和4年度 全国学力・学習状況調査の結果 P20

 

2022年の調査時では、8割以上の学校で端末が活用されています。ここでは、端末導入におけるメリット・効果についてみていきましょう。

ICTスキルの向上

これからの時代を生き抜く子どもたちには、エビデンスのある情報を自ら探す能力が求められます。

端末を活用することで、基本的な使い方はもちろん、情報の正しい収集方法を学べるでしょう。

また小学校のプログラミング教育が2020年から必修化され、生徒がパソコン環境に触れる機会が増えました。

協働学習を通じて、プレゼン資料作成など高度なICTスキルも向上します。

ICT機器が整備されることで、プログラミングへの興味を引き出したり、学習機会を拡大できる可能性があります。

デジタル教材による理解度の向上

テキストに加えて音声や映像で学べるようになるため、教科書だけで学ぶのと比べて理解が深まります。

たとえば英語では、ボタンを押すとテキストをネイティブ話者が読み上げてくれ、いつでも正しい発音を確認できます。

 

また自分の発音を録音でき、きちんと発音できているかどうかを確認できるでしょう。

デジタルで配布されるものは基本的にカラーで拡大も可能なので、紙のプリントよりも使い勝手が良いというメリットもあります。

協働的な学びの実現

授業支援ツールを活用すると、端末に記録されたノートを瞬時に集約し共有できるようになります。

子どもが自分以外の多数の意見を瞬時に見られるようになることで、自分と異なる意見をもつ人とのディスカッションをしやすくなるでしょう。

自分の意見を相手に伝えるためには、ノートにまとめるときよりもいっそう深く考える必要があるため、学習効果がより高まります。

またこれまでなかなか発言の機会がなかった子どもの意見も、一斉に共有することで汲み取れるようになります。

カメラ機能活用による効果的な復習

端末のカメラ機能を活用すれば、本来一度きりの体験も再体験できます。

 

たとえば理科の実験や校外学習においてカメラを使えば、映像や写真を再確認することで新たな発見ができるかもしれません。復習の効果をより高められるでしょう。

休校中における学びの実現

感染症の流行等で休校になってしまった場合でも、児童や生徒は自宅で学び続けられます。

双方向型のオンライン授業を受けたり、eラーニングで学んだりできるでしょう。また様々な理由で登校できない生徒たちも自宅で学ぶことができます。

 

令和4年度 全国学力・学習状況調査によると、2022年にオンライン双方向型の指導を実施した学校は8割以上となっており、実際にオンライン授業に活用されていることがわかります。

出典:令和4年度 全国学力・学習状況調査の結果 P23

 

教員における事務作業の軽減

教員においては、事務作業を軽減できる効果があります。

授業では、授業支援ツールを利用することで板書が不要になり、プリントの配布も不要になるでしょう。

 

教員同士の情報共有が行いやすくなり、板書は画面共有機能や電子黒板を使うことで、子どもたちが直接端末の画面で確認できるようになります。

配布していたプリントはネットワーク経由で瞬時に配布できるため、コピーしたり、生徒からの回答などもデータで集めることができ、集計や管理が効率化することが期待されています。

 

板書やプリント配布に使用していた時間が削減されることで、ディスカッションやプレゼンなどの時間を増やせるでしょう。

宿題の配布や回収、正誤チェック作業も、アプリを利用することで軽減されます。

 

個別最適化学習の実現

GIGAスクール構想の最終的な目標は、従来の一斉学習では実現できなかったきめ細かい教育を提供することができるようになる個別最適化された学習環境の実現です。

個別最適化された学習とは、一人ひとりの能力に合わせた学習方法のことで

全員がすべてのテーマを同じペースで学習するのではなく、苦手なテーマについては他のテーマよりも時間をかけたり、より多くの問題を解いたりします。

 

端末を利用することで、教材の動画の再生スピードの調整や一時停止など、自分の理解に合わせて学習できるようになるでしょう。

またテストに端末を活用することで、子どもたちの得意/不得意が可視化され、個別最適化された指導がしやすくなると期待されています。

 

また、大勢の前で話すことが苦手であっても、デバイスによるコミュニケーションであれば自分の考えを発言しやすいという生徒もおり、主体性を引き出すこともできるでしょう。

GIGAスクール構想の問題点

すでに大きな効果をもたらしているGIGAスクール構想ですが、問題点も浮上しています。

地域・学校によって端末利活用に差がある

ICT端末の活用は、地域や学校によって差が生じています。

たとえば、端末を持ち帰らせている学校は6割以上ありますが、「持ち帰らせていない・非常時のみ持ち帰らせる」としている学校は約3割におよびます。

 

・端末の家庭利用状況(2022年)

出典:令和4年度 全国学力・学習状況調査の結果 P20

 

文部科学省では、端末の利用を日常化させるため、GIGAスクール運営支援センターの機能強化を図る予定です。

指導技術が十分に確立していない

ICT端末を活用した指導は、多くの学校にとって新しい取組であるため、指導技術が十分に確立していません。

端末を効果的に活用している優良事例をモデル化し、地域内や全国へ展開するしくみが求められています。

教員の負担が大きい

メリットがある反面、誰もがICT機器に詳しいわけではありません。そのため学習支援ツールの基本的な利用方法を習得し、子どもたちへの活用方法を考えていく業務が増えたという点で、教員の負担は大きくなりました。

さらに自治体や学校によって利用している学習支援ツールが異なっている場合は、転勤した際に授業のやり方を変える必要がでてくるかもしれません。

 

GIGAスクール構想では個別最適化された学習を最終的な目標としているものの、そもそも教員に余裕がなければ、生徒一人ひとりに合わせた指導をすることはできません。

教員が時間的な余裕をもつには、少人数学級の実現や教員の業務量の見直しなど、根本的な改革が必要になるでしょう。

生徒の父兄への対応

中には生徒のPCやタブレット端末の取り扱いに対して不安を感じる人もいます。そのため、目的や考え方、具体的にどういったことを進めていくのかを説明する必要があります。

GIGAスクール構想に関連した事業

GIGAスクール構想をベースとした、文部科学省の事業についてまとめました。

デジタル教科書の普及促進

2024年度から、デジタル教科書が本格導入されます。

現在では検証実験として、デジタル教科書の無料配布が行われています。

コンピューターを使った試験システム(CBT)の普及

文部科学省は、コンピューターを使った試験システム(CBT)を、希望する全国の学校に無償で公開しています。2022年8月時点で、約11000校、360万人が登録しています。

 

参考:令和5年度概算要求のポイント  P15

教育データサイエンス推進事業

公教育に関するさまざまなデータは、今後研究や分析に使われる予定です。

データを集約するためのプラットフォームが、2023年度から運用を開始する予定となっています。

教育環境におすすめなDoRACOON

 

 

GIGAスクール構想の実現にネット設備は切り離せません。利用している端末の種類・数や環境に応じて、適切なものを選択しましょう。

環境を選ばず使える方法は、クラウドSIM対応機器を用意する方法です。

 

とくに、DoRACOONはNTTグループが提供するクラウドSIMテクノロジーを採用したインターネット接続サービスなので、安心して利用できるでしょう。

工事不要でプロバイダ契約も不要、届いたらすぐに場所を選ばず(※)インターネットに接続できる手軽さも魅力です。

特定のキャリアに通信障害が起きても安定して通信ができますので、是非一度調べてみてはいかがでしょうか。

 

※マルチキャリアのネットワーク(LTE(4G)・3G回線)に対応しております。(お客様での選択不可)

ただし、ご利用いただくエリアや電波や建物等の環境により一部ご利用いただけない場合や、通信速度が遅くなる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

※記載している内容は、掲載日時点のものです

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