高速で大容量の通信を可能にするブロードバンドは、私たちのデジタル生活を大きく変革させました。本記事では、ブロードバンドを固定系と移動系に分けて、それぞれの回線種類について解説していきます。
INDEX
- 1.ブロードバンドとは
- 2.ブロードバンドの2タイプ
- 2.1.固定系ブロードバンド
- 2.2.移動系ブロードバンド
- 3.固定系ブロードバンドの種類
- 3.1.ケーブルテレビ回線(同軸・HFC)
- 3.2.ADSL
- 3.3.光回線
- 4.移動系ブロードバンドの種類
- 4.1.WiMAX(BWA)
- 4.2.4G LTE
- 4.2.5G
- 5.ブロードバンド以前のインターネット回線の種類
- 5.1.電話回線(アナログ)
- 5.2.ISDN
- 5.3.3G/3.5G
- 6.ブロードバンドがもたらした変革
- 6.1.高速化
- 6.2.常時接続・定額料金
- 7.ブロードバンドの利用状況
- 7.1.固定系は光回線が圧倒的首位
- 7.2.移動系は 4G LTEがトップ・5Gも急増中
ブロードバンドとは
ブロードバンドとは、高速で大容量通信ができるインターネット回線全般のことで、主に光ファイバー回線(FTTH)、4G(LTE/LTE-Advanced)以降のデータ通信、無線LAN(Wi-Fi)などがこれに該当します。
通信速度の明確な定義はありませんが、一般的には1秒あたりの速度が「メガ(100万)ビット」級(500kbps)以上のものを指す場合が多く、これにより以前のISDN回線(~128kbps)やアナログ電話回線など(~56kbps)と比較して1000倍以上の高速通信が実現されました。
「ブロードバンド」という用語は、とくにADSL通信サービスの速度を強調するために用いられ、2001年には新語・流行語大賞の上位にランクインしたほど注目されました。
2024年現在、私たちが利用できるインターネット回線はほぼすべてがブロードバンドであり、意識的にブロードバンドと表現するケースは少なくなっています。
ブロードバンドの2タイプ
ブロードバンドは、大きく分けて2つのタイプが存在します。
・固定系ブロードバンド
・移動系ブロードバンド
2000年代前半には、ブロードバンド回線は主に固定系に限定されていました。
しかし、モバイル通信技術の進化により、2024年現在ではブロードバンドには無線通信を利用する移動系ブロードバンドも含まれるようになっています。
固定系ブロードバンド
固定系ブロードバンドとは、電話線や光ファイバーなどの物理的なケーブルを使用するインターネット回線です。これらの有線接続を利用することで、安定して高速な通信が可能となります。
・ケーブルテレビ回線(HFC、FTTH)
・光回線 など
移動系ブロードバンド
移動系ブロードバンドとは、物理的なケーブルを使用せず、無線基地局から発する4G LTEや5Gなどの電波を利用するインターネット回線です。
ノートパソコンやタブレット、スマートフォンなどのモバイルデバイスと合わせて利用することで、移動中にも高速な通信が可能となります。
・WiMAX
・4G LTE など
固定系ブロードバンドの種類
固定系のブロードバンド回線の種類を見ていきましょう。
ケーブルテレビ回線(同軸・HFC)
ケーブルテレビ回線とは、テレビ放送用のケーブルを利用するインターネット回線です。
1996年に始まったこのサービスは、ADSLよりも早く導入されました。
空きチャネルをデータ通信に利用し、1チャネルで30Mから40Mbps、3から4チャネルを束にすることで120Mまたは160Mbpsの高速通信を実現します。
初期のケーブルテレビは同軸ケーブルを利用する「同軸方式」が主流でした。
しかし2024年現在ではHFC方式(※1)とFTTH方式(※2)が主流となっています。
(※1)局からは光ファイバーで配線し、途中から同軸ケーブルで各家庭まで引き込む方式
(※2)局から各家庭までを光ファイバーで敷設する方式
ADSL
ADSLは、ブロードバンドの普及を促進したインターネット回線の一つです。
既存の電話線をそのまま利用できるため、電話を引ける場所であればどこでも利用でき、エリアの拡大とともに2000年代前半に爆発的に普及しました。
ADSLは通話とは異なる帯域を利用するため、電話とインターネット接続の同時利用も可能であり、これにより常時接続と定額料金制が実現されました。
とくに下り方向の速度が強化され、最大で50Mbpsのスピードを実現しています。
ただし、ADSLは2024年3月末にサービスを終了する予定であり、そのため利用者数は減少しています。
光回線
光回線は、2024年現在主流のブロードバンド回線です。
この回線は、細いガラス繊維でできた光ファイバーケーブルを使用し、光が反射しながら進むことでデータ伝送を実現します。
2001年にサービスが始まった当初は最大通信速度が100Mbpsでした。
しかし現在では最大1Gbps回線が主流となり、一部の地域では最大10Gbpsの回線サービスも提供されています。
光回線は高速かつ安定した通信を実現し、多くのユーザーに利用されています。
移動系ブロードバンドの種類
移動系ブロードバンドの主な種類について解説します。
WiMAX(BWA)
WiMAXとは、2.5GHz帯の周波数帯域を利用した無線データ通信サービスで、2009年に日本でサービスが開始されました。
初期のWiMAXは下り最大40Mbps/上り最大10Mbpsで、当時の携帯電話網である3Gの速度に比べて高速であるとされました。
現在では、WiMAX 2+(ツープラス)と呼ばれる高速規格が利用されています。
4G LTE
LTEは2010年から、4Gは2014年からサービスが開始されています。
4G LTEは、携帯電話がガラケーからスマートフォンに移行する時期に登場し、理論上の最大下り速度が1Gbpsとなりました。
また4G LTEでは、MIMOやOFDMA、キャリアアグリゲーションといった技術が採用され、通信速度が大きく進化しています。
5G
5Gは2020年にサービスが開始された第5世代移動通信システムで、主な特徴として高速化に加えて「低遅延」と「多数同時接続」に焦点を当てたものです。
要件として下り20Gbps/上り10Gbpsの伝送速度、1ミリ秒以下の待ち時間、接続密度100万台/1km²が求められています。
2024年現在はこれらの要件を完全に満たしていないものの、段階的な進化が期待されています。
ブロードバンド以前のインターネット回線の種類
ブロードバンド以前のインターネット回線の種類について解説します。
電話回線(アナログ)
固定電話を通じて行われるデータ通信の伝送速度は4.8kから33.6kbpsで、非常に低速でした。
この方式は、電話音声と同じ周波数帯を利用する点が特徴で、データ信号が電話音声と同じ帯域幅のアナログ信号に変換され、通信が行われます。
ISDN
ISDNも電話回線を利用するデータ通信サービスで、1988年にサービスが開始されました。
電話回線を利用する点はアナログ回線やADSLと同じですが、信号をデジタル形式で伝送する点はISDNならではの特徴です。
通信速度は64kbpsでアナログ回線よりは改善されましたが、高速なサービスとはいえませんでした。利用料金は電話と同じで、通信時間が長いほど利用料金が高くなる仕組みです。
3G/3.5G
1997年に携帯電話向けネットサービスがスタートし、2000年にカメラ付き携帯電話端末が登場するなど、携帯電話を利用した高速なデータ通信の需要が増加していました。
2001年に3Gが登場することで、それまでよりも高速なデータ通信が可能になり、通信速度は数百kbpsから数Mbpsへ向上しました。
その後、3Gよりも高速な3.5Gも導入され、下り速度が最大数Mbpsから数十Mbpsに向上しています。
ブロードバンドがもたらした変革
ブロードバンドがもたらした変革について、高速化と常時接続・定額料金の2つの側面で詳しく見ていきましょう。
高速化
ブロードバンドの導入により、従来の64kbpsの遅い回線から通信速度が飛躍的に向上しました。
たとえば、従来の回線でCD1枚分の音楽データをダウンロードするときは、約2時間半かかっていました。
ですが、光回線では100Mbpsの場合、同じデータを約6秒でダウンロード可能です。
この高速化により、ウェブページの読み込みや大容量データのダウンロードが格段に速くなり、ユーザーエクスペリエンスが向上しました。
常時接続・定額料金
ブロードバンドの導入により、ユーザーは手動で接続や切断の手続きを行わずとも常にインターネットに接続でき、いつでも好きなときに情報やサービスへアクセスできるようになりました。
使用時間に応じた従量課金制度からの転換により、ユーザーは一定の月額料金で制限なく利用できるようにもなっています。
常時接続と定額料金制度の導入により、インターネットをより便利に、かつ経済的に利用できるようになり、利便性が飛躍的に向上しました。
ブロードバンドの利用状況
総務省の統計データをもとに、ブロードバンドの利用状況を見ていきましょう。
固定系は光回線が圧倒的首位
固定系ブロードバンドの利用状況は以下の表のとおりです。
出典:ブロードバンドサービス等の契約数の推移(四半期)-総務省
固定系ブロードバンドの利用状況を見ると、光回線が約4000万契約で圧倒的な首位を誇っています。この数字は前年比で+ 5%となっており、光回線の需要が継続的に拡大していることを示唆しています。
一方、CATVアクセスサービスは前年比-2%で、やや減少傾向にあるといえるでしょう。
DSLサービス(ADSL等)は2024年3月にサービス終了予定のため、契約数が大きく減少しています。
移動系は 4G LTEがトップ・5Gも急増中
移動系ブロードバンドの利用状況は、以下の表のとおりです。
出典:ブロードバンドサービス等の契約数の推移(四半期)-総務省
移動系ブロードバンドの利用状況を見ると、4G LTEが最も多く、1億2000万契約を超えています。
しかし、5Gは前年比+45%と大幅な増加率を記録しており、将来的に4G LTEの契約数に迫っていくでしょう。
BWAアクセスサービス(WiMAX等)は前年比+6%で安定的な伸びを見せています。
以上のことから、移動系ブロードバンドの中では5Gが急速に普及していることがわかります。
まとめ
ブロードバンドサービスは高速・大容量の通信が行えるサービスの総称です。 現在主流なブロードバンド回線は光回線や4G LTE、5Gであり利用者も急増しています。 ブロードバンドにより、高速なデータ通信や動画ストリーミング、オンラインゲームなど、それまでにはないユーザー体験が実現されました。
※記載している内容は、掲載日時点のものです
2023-9-20
2023-5-16
2024-4-24
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